« CAROLYN STEEL-HOW FOOD SHAPES OUR CITIES キャロリン・スティール 食料による都市の形成 | トップページ | 『TRICOLORE トリコローレ』でパニーノ三昧 »

2011/07/06

松竹梅「生酛純米 白壁蔵」を楽しむ会ローマ EVENTO DI SAKE 「SHIRAKABEGURA KIMOTO JYUNMAI」ROMA

Dscn0637

6月30日にローマの2つ星レストラン「イル・パリアッチョ」で
行われた【宝酒造 松竹梅白壁蔵生酛純米」を楽しむ会。

コーディネーターとしてこの仕事のオファーがあったとき、6月2日
付けの毎日新聞に掲載された前駐イタリア大使の安藤氏が書か
れた記事を思い出しました。

「イタリアはグローバル化にやや遅れた印象があるが、自ら非合理を求めているような、途上国とは違う開き直った面がある。そして、苦しんでいる人を 助けるカトリックの精神、慈愛が強い社会だと思う。41年間の外務省勤めで最後の国だった。とても居心地が良かった。そんなイタリア人にもっと日本を知っ てもらおうと、文化交流に力を入れたが、両国はまだ不釣り合いな関係にある。

 日本で開かれる催し「イタリアの春」や「秋」では30億円以上が新聞社など日本企業から集まる。逆に、日本文化展の後援をイタリアのメディア企業 に頼んでも1銭も出してくれない。昨年ローマに歌舞伎を招いた時も、急きょ1週間で5000万円を集めなければならず、死にそうだった。

 イタリア人は自分たちが文化大国だからよそを見なくてもいいと思っているところがある。自国の料理が一番で、静かなブームが続く日本料理もすしば かりで、他になかなか目が向かない。イタリア人が興味を持つのは米、欧、中南米、中東、北アフリカの順で、アジアはその次。日本に漠然と憧れてはいても、 具体的な行動に結びつかない。日本を訪問するイタリア人は増えたが年間10万人以下で、イタリアに行く日本人の1割に満たない。

 私は歌舞伎のほか、ポップカルチャー祭り、映画祭などを手掛けた。歌舞伎ではイヤホンガイドで物語や俳優の所作を同時解説したり、役者が化粧をし 着飾る流れを見せる催しで話題をつくった。ただし公演は2回どまりだった。10回くらいやれば相当な広がりが出たと思う。昨年のローマ映画祭の日本特集で は当初、クリント・イーストウッドと仲代達矢の両氏を招き、映画「用心棒」をめぐる対談を考えたが、主催者に断られた。

 イタリアには固まった日本のイメージがあり、それをはみ出ると受け入れたがらない。フジヤマゲイシャだけではなく、より劇的で幅のある日本を見せ たい。とはいえ、受け入れ側が変わるのに時間がかかる。ステレオタイプを破るのが文化交流だが、イタリア人の日本理解はまだ小さな流れにすぎない。水を引 けば段々と川になるはずで、日本をイタリアに植えつけるには、まだ日本側が動かなければならない段階だと思う。」毎日新聞 201162日 東京朝刊


 現地にて第一線で日本とイタリアの交流に活躍された方の話

にはなかなか説得力があり、まさにイタリアの現状そのもので

こちらもうなずきながら読みました。同じヨーロッパでもパリや

ロンドンと違い、はてしなくモノカルチャーの国であることがひしひし

と感じられるこの場所で、はたして酒をテーマとした会にイタリア

人の招待客が集まるかどうか、また「イル・パリアッチョ」という

どちらかというと観光客よりも現地のグルメ客が多いレストランで

ワインではなく日本酒を合わせたメニューが受け入れられるのか

どうか、この店では10または12皿からなるコースメニューに合わせ

料理ごとにグラスワインを出すというワインと料理の相性に力を

入れているというのに、今回11皿からなるコースメニュー全てに

1種類のみの純米酒だけでとおすというのは客が飽きるのではない

か、などなどいろいろ思案するところがありました。

しかしこの話を「イル・パリアッチョ」のオーナーシェフ、アンソニー・ジェノ

ヴェーゼにもちかけた瞬間「ぜひやりたい!このディナーは僕にやら

せて!」という返事がありその不安はふっとびました。エノテカピンキオ

ーリ銀座店のオープン時にプリモシェフとして日本で勤務したことがあり

和食大好き日本人大好きという彼。試飲&試作を重ね11皿のこの日の

ための、「白壁蔵」のための特別コースメニューを仕立ててくれました。

さらに、この前代未聞のディナーを味わおうと元ガンベロロッソ編集長

からローマ市長外交顧問弁護士、星付レストランのプリモソムリエから

映画監督まで豪華なイタリア人ゲストが集まりました。

ディナーの前にはお酒のセミナーも行いましたが、あれほど人の話を

聞くのが苦手なイタリア人もみんな姿勢を正して聞いてくれました。

主催者側の日本スタッフチーム、「イル・パリアッチョ」のシェフをはじめと

するレストランスタッフ、イタリア人ゲスト達。総勢40名で作り上げた

このディナー。

さてそのゲストの反応は?

詳しいメニューの内容、シェフのインタヴューなどをあわせ9月下旬

発売予定の雑誌「自遊人」でご紹介いたします。

乞うご期待。

Dscn0639

現在のイタリア料理界の動きとして、ミシュランの星がつくレストラン

などで、このようなレベルの高いイタリア料理を基本としたフュージョン

料理がどんどん展開されています。クラシックなイタリア料理に昆布

だしや味噌が隠し味に使われていたり、わさびやわかめ、紫蘇といった

素材としてのアクセントなども多々見られます。こういうお店で今後

質の高い日本酒がどんどん進出できるのではないかと思います。

今までイタリアに日本酒を輸出販売しようという試みがたくさんありますが

やはりマーケットがない、数が出ないということでコスト的にも苦戦を

強いられているのが現状。和食レストランも大切な顧客になりうるけれど

もっと優秀なシェフとソムリエ、よい客層をもったイタリアレストランを

ターゲットにしプロモーションを行うことが”今のイタリア”にあった

戦略ではないかと思います。つまり素晴らしいワインリストをおいていて

ソムリエがいるレストラン。

たとえばローマだと「GLASS HOSTERIA グラス・オステリア」や 「SETT

EMBRINI セッテンブリーニ」なんかは、ワインだとこの料理が生かされな

いのでは?日本酒の方がしっくり合うのでは?と思われる料理がいろいろ

あります。ワインは日本酒に比べて香りが強い。原材料のフルーツは

やはり米のそれよりも酸味も高い。生の魚に軽いソースのかかった前菜

バルサミコ酢と砂糖の甘辛いソースの肉料理など、ワインよりも日本酒

の方が料理を邪魔しません。もちろんワインの方があうという料理も

たくさんあるので、それをソムリエが料理によってうまく提案すれば

もっと料理の幅が広がり、レストランのサービスレベルももっと評価

されるのではないでしょうか。もちろん質のよい酒とワインに限った話。

現地で行われる日本酒の試飲会でも寿司や天ぷらの次には現地の食べ

物と合わせて紹介するという方法も、イタリア人にわかりやすいのでは

と思いました。

 安藤氏が語るようなイタリア人の国民性を背景にし、SAKE=中華

レストランで食後におちょこで出てくる蒸留酒という日本酒のイメージ

が定着していたイタリアで行われた「白壁蔵 生酛純米」を楽しむ会。

今回の宝酒造のイベントだけがイタリアにおいて例外的に成功した

といいたいわけではありません。でも、実際にイタリア人ゲスト全員

が白壁蔵を食事とともに楽しみ「感動した」と率直に語ってくれたこと。

中には毎日冷酒を飲みたいという人もいて、これはうれしかった。

日本主催者側とシェフアンソニーの信念、そしてイタリア人ゲストの

好奇心が層を成して1つの川になったのが目に見えたような素晴らしい

宵でした。

*************************************

宝酒造株式会社

TAKARA SHUZO CO.,LTD

*************************************

自遊人 JIYUJIN

ZEN CO.,LTD.

************************************

RISTORANTE IL PAGLIACCIO

Via dei Banchi Vecchi 129 a

Tel 06 68809595

************************************

|

« CAROLYN STEEL-HOW FOOD SHAPES OUR CITIES キャロリン・スティール 食料による都市の形成 | トップページ | 『TRICOLORE トリコローレ』でパニーノ三昧 »

パーティー・イベント - FESTA/EVENTO」カテゴリの記事