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2011/08/23

『割烹よしこ In ROMA』

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ローマに住み始めた当時、何もかもが目の覚めるようにおいしく
「このまま一生イタリア料理だけで生きていける!」と豪語していた
自分。その16年後。ますます醤油や味噌の味を求める自分の体に
やっぱり日本人の味覚ってすごいなーと認識。

日本人の血はそんな甘いものやございません。
イタリアに長期在住している日本の友人たちもやはり同じ。
たとえば具合が悪い時には、イタリア人がやる、茹でたパスタにオリーブ
オイルとチーズをかけて食べるという人は聞いたことがありません。
やっぱり「おかゆ」とか「赤だし」。どんな長く住んでいる人でも、イタリア
料理・ワイン関連の仕事をしている人でも、旦那がイタリア人でも
100%イタリア料理だけで過ごしている人というのは会ったこと
ありませんね。それよりもやはり食べることにこだわりをもっている人
ほど現地での普段の生活にうまく工夫しながらおいしい和食をつく
っています。
ローマは在住日本人が少ないのか日本食材店というのがありません。
中華・韓国食材店にちょこっと和食のコーナーがあるだけ。パリとか
ロンドンみたいに日本食スーパーなんか夢の夢。それでも地元食材と
日本から送ってもらったり、友達が持って来てくれたりする貴重な材料
で和食を作る。手軽に売っていないからこそ、豆腐や漬物、お餅などまで
自分で家で作るという人も結構います。海外で長く暮らす人ほどうまく
この「半々食生活」をしているようです。
その辺がイタリア人とも、また逆にイタリア在住の中国人とも違うところですね。
和食を時々食べるとまたイタリアンの味も新鮮に感じるんですね。
いろんな文化を混ぜられる日本人の感覚って独特です。

食いしん坊ゆえに料理上手というローマ在住日本人の友達のなかでも
玄人はだしの腕を持つよしこさんから週末ディナーのご招待。
よしこさんのローマのおうちはそりゃすごい。まず日本から持ってきたという
”日本の”冷蔵庫。(イタリアの冷蔵庫は日本のものと違いいまだに霜がつく)
巨大な変圧器つき。日本の最新型レンジに炊飯器。鍋料理用土鍋に作家
ものの美しい陶器。調味料の豊富さはそれだけで店が開けるほど。
日本製とイタリア製の2台の大きな冷蔵庫にぎっしり下準備済みの食材
がいろいろな大きさの容器に入れられてきちんとパズルみたいに収納
されています。料亭のレベルなのは設備だけでなくなによりよしこさんの
料理の腕前。だからお誘いがあったときはどんな用事があっても行きます。
そしていっぱい食べたいのでお昼は絶対抜きます。

よしこさんのおうちに入るといつもうっとりするのが、日本で割烹のお店に
足を踏み入れたときのあのいい匂いがするのです。ただの煮物の匂いではなく
なんというか一番出汁の匂いとカウンターの白木の匂いが混ざったような
あの高級感あふれる匂いです。この匂い、箱につめて売ってよしこさん!

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キッチンから今度は大豆の香ばしい匂いが。
厚揚げです。厚揚げはこちらでは売っていないので豆腐の水
を切ってじっくり揚げたというよしこさんのお手製。

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その自家製厚揚げに八丁味噌とギリシャのタラコ入りチーズを
塗ったもの。味噌もいけるけど、ギリシャのチーズ厚揚げの組合
わせは驚き。これはワインがよくあう料理です。

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人が来るとどうしても大皿料理でもてなしてしまうのですが、よしこさん
は小皿で多種類の料理を出してくれます。イタリア人のおもてなしも大抵
大皿料理ですから、これが日本の割烹ぽくってうれしいのです。

こちらはお蕎麦にナスと海老をたいたもの。どちらも冷たくしてあります。
お蕎麦と一緒に食べるよう少ーしだけ濃い目の味つけになっています。
これは母がよく作ってくれたおばんざいとそっくり。母のは海老の代わりに
鶏でした。
ゆっくり食べようと心がけてもあまりのおしいさに3口くらいで終わってしまい
ひそかに心の中で反省。

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これは感動的においしかった一品。
焼ナスの冷製スープ。
つぶした焼きナスを海老でとった出汁でのばし、そこへトマトと
上質のオリーブオイルを少し。そうです、前にお蕎麦と出てきた
ナスと海老、同じ素材を使っているのです。焼きナスの焦げた
ような香ばしさと、海の香りの出汁。完全にノックアウトです。

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春雨とささみ、きゅうりのサラダ。このガラスの器、夏を表現
してますねえ。

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おばんざいの定番料理、おあげと菜っ葉のたいたん。
この菜っ葉、イタリア野菜の”ビエートラ”なんです。
それにしても出汁のうまさが際立ってます。これ5杯
おかわりしました。

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もう1人の招待客ジェッシーと2人おなかをさすり「おなかいっぱーい!」
と叫んでいると「じゃ、これからメインを出すねー。」とよしこさん。
「えーまだこれからあるのー!?」と思っているとイカの焼けるいい匂いが
してきました。それにしてもイカってなんであんなに食欲をそそる匂いが
するんでしょうね。

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ジェッシーと2人あまりのうれしさに「キャー!」と叫んでしまいました。
イカに海老、げそ、ラードを詰めて網焼きにしたもの。
レモンを添えて。よしこさんお気に入りの器で。
全部の材料を包丁でたたいて詰めたそうですが、ラードというのが
この料理にいい迫力をだしていて、しかも肉くささはなく、さすがの一品
でした。

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生姜のきいたアサリご飯。貝がたっぷり。
3杯おかわり。
ジェシーも同じく。

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このディナー、飲み物何だったと思います?
「DOMAINE TORTOCHOT」のシャンベルタン2007。
おいしい出汁の和食にブルゴーニュ。これって最高の組み合わせ
ですね。今日のどんな料理ともしっくりきてました。

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自分のおなかもさっきのイカの詰め物みたいにパンパンになった
ころ、「あっ。そういえば作りおきのシュウマイあるけど食べる?いま
さらだけど。」とよしこさん。ジェッシーと思わず「食べる!」と2人同時
にハモッってしまいました。こういうとき必ず気が合うジェッシー。

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シャンベルタンとシュウマイ。これも合いますね。

和食材の乏しいローマで『割烹よしこ』のこの贅沢なディナー。

お料理から陶器、家具、照明器具にBGM。全てが料亭にいるような素敵
な空間が居心地よくついつい夜遅くまで長居。

家に帰ってなんだか自分もまたいっぱい料理をしたい気分になりました。
新しい味を発見する面白さ、素材の奥深さ、なによりも食べる楽しさを
めいっぱい満喫したからかもしれません。

よしこさんありがとう。また誘ってねー。







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