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2011/12/14

シエナ『IL CANTO- HOTEL CERTOSA DI AMGGIO イル・カント ホテル・チェルトーザ・ディ・マッジョ』

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それは「後にも先にもこんな体験はない」と思った貴重なディナー
でした。イタリア中のレストランをまわった中で一番衝撃的なレストラン
はシエナの『IL CANTO イル・カント』。
イタリアに遊びに来たシンガポール在住の幼馴染とモンタルチーノ
のワイナリーを訪問、ディナーは前から行きたかったこのレストラン
を予約していました。
シエナの旧市街から車で15分ほどのところにある、1300年代の
修道院を改装した5つ星ホテル「HOTEL CERTOSA DI MAGGIO」
の中にある一流レストラン。
イタリアのレストランガイド、ガンベロロッソ、エスプレッソの過去2年
の総合評価では、全国トップ100店の中で12位という輝かしい
評価。シェフ、パオロ・ロプリオーレ氏の独自のクリエイティブ
な料理がいろいろな雑誌でも評価されていたので前からぜひ行
きたいと思っていたのです。
夢かなって、はるばるシエナ郊外まで行ったその晩餐は「まずい」と
いうものではなく「食べられない」というある意味忘れがたい食事となった
のでした。

その修道院はトスカーナ独特の重厚な内装が素晴らしく、厳か。心の
中で「ステキすぎー!来てよかったー!」とワクワク感が最大に。
そして席に案内され、渡されたメニューはまったく解読不明。
コースメニューは9品からなるのですが、一品一品メニューの名前が
記載してあるのではなく”今日”という単語が9ヶ国語でならんでいました。
それもフランス語、とか日本語ではなく、どこの言葉かわからないような
マイナーな言語で。カメリエーレ曰く「シェフのインスピレーションで決める
のでメニューには料理を載せていない」とのこと。アラカルトメニューは
もっと理解不明だったのと、せっかくなのでシェフのインスピレーションを
楽しもうということでコース(130ユーロ/人)を注文。

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こちらはアペリティフのフランチャコルタとともに運ばれてきたモダン
アートみたいな一品。右からかぼちゃの種のパウダー、左はドライ
紫たまねぎ、下はアンチョビとお酢のタルト。

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で、ワインはせっかくシエナということでブルネッロを注文しようとしたところ
「コースメニューなら発砲酒か白ワインをおススメします。赤はちょっと合い
ませんね。」とのこと。でもせっかくモンタルチーノに行ってきたのでやっぱり
ということで、伝統的な造りの「FUGLINI フリーニ」のブルネッロ2000を注文。
ちょうど飲み頃で、あまりの飲みやすさに驚き。スイスイ飲めてブルゴー
ニュを思わせるエレガントさ。

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アミューズです。
グラスの底にはちょこっとパイナップルのカクテルが、上には
仔牛のロースとの串刺し。これを一緒に食べるということなので
すがイマイチ味わいのハーモニーがまったく不調和。
このあたりから?が脳裏に。

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これはこのディナーを象徴するちょっと衝撃的な料理でした。
「わかめ、香草、根菜のサラダ」
上にのっているのは日本人おなじみの刻み海苔。ざるそば
の上にのっているあれです。
その下にいろいろな種類の香草があるのですが、ハーブという
より薬草で、もうリキュールとかビールの原材料にするような強い
独特の後味のある葉っぱばかり。これで完全に舌がしびれて
しまいました。そしてさらに下にはガリ(甘酢に漬けたしょうがの
薄切り)に「どうみてもS&Bチューブ入りだよね」と思われるわざびが
お皿に塗りつけてありました。オリーブオイルやドレッシングはなし。
これらをなぜか「手で食べてください」とのこと。
さて、これらの素材の味の組み合わせを想像してみてください。
のど薬みたいな苦い薬草にガリとわさび、口の中でわさわさする
刻み海苔。。。
一緒に食べていた友達も舌がしびれて、この料理からワインの味
がわからなくなってしまいました。

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「チコリのラビオリ4種」
苦味のある菜野菜チコリを練りこんだ緑色の碁石みたいな小さな詰
ものパスタが4つ。中の具は1個ずつ4種類で、オリーブオイル
バルサミコ酢、アンチョビ、パルミッジャーノでした。
アイデアは面白く丁寧につくってあったのですが、でもこれが
強烈に塩辛い。塩入れずぎ!ワインは飲めず水、水、水。

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コースの中で唯一まともな料理だったのがこれ。
「鯛のソテー、アーティチョークのソース」
でもこれもどうってことはなく、ローマのトラットリアレベル。

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これもなんとも不思議な素材の組み合わせ。
「チーマ・ディ・ラーパ、ニシンの卵、レモンのキャビアに白
トリュフ添え」
苦いチーマ・ディ・ラーパに、酸味の強いキャビアの形をした
レモン、これまた苦辛いニシンの卵。またまた苦味と酸味。それに白
トリュフ。デリケートなトリュフの味が完全に消されてしまい残念。

この後は写真を撮り忘れたのですが「鳩のソテー、キクイモ添え」
水でなくやっとワインが飲めるようになった一品。

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ほとんどを残してしまった「冬の表現 土の中へ」というメニュー。
一緒に行った友達との間でその後もずっと笑い話というか
語り草になった料理です。
カメリエーレが何が入っているのか説明してくれたのですがい
まだにわかりません。お皿全体が茶色のグラデーションの食材で
盛られているのですが、食べられない素材ばかりでした。
タバコの葉とか燻製した何々の葉、とか何とか品種のカカオ
の塊など、口に入れても吐き出してしまうほどの苦味のオン
パレード。まさにタバコの葉とかシガーをかじっているような感じ。
ひとつでも甘いもの、もしくはバターのようなものがあればまだまし
だったのですが、全部が苦いかものすごく苦いのどちらか。
友達も完全に残していました。

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「コーヒーのタルトとサンブーカのムース」
もうここでは知恵がついていて、ちょこんとフォークに米粒くらい
をすくい、まずは食べられるかどうか味見。
ムリ!!!むり!無理!
強烈な苦味。
そしてこの白いムースも超すっぱーい。後味強すぎ。

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このチョコレートのローズ風味も

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香草とチョコレートのデザート盛り合わせももう食べませんでした。

この日唯一満足したのはワインでした。でも皮肉なことにこんなシエナ
の最高のワイン名産地にありながら、赤ワインどころかおススメされ
た白も発砲ワインも何もかも絶対に合わない料理なのでした。これほ
ど極端な料理を提供するのであれば、やはり飲み物もそれなりに日本酒
とかカクテルなんかを提案すべきと思いました。

そんなこともあわせて、どういうコンセプトのもとにこれらの料理が作ら
れているのか、あまりの不思議さにシェフのコメントというのを聞きたく
なってきました。怒りとか批評するというのではなく、単純にどんな人が
どんな想いで作っているのか聞いてみたかったのです。
この日来客は私たち2人だけだったのですが、料理が運ばれてくるたび
にシェフがこちらを遠くから私たちの様子を観察していました。
サービスしてくれたカメリエーレたちも料理の名前だけを告げてテーブルを
さっさと去るような対応だったのでシェフに聞くしかなかったのですがダメでした。

そしてカメリエーレにシェフを呼んでもらうようにお願いしたその返事は
「シェフは明日朝早い仕事があるので帰宅しました」。
ちょっとこれ最悪。どんなにセンスが悪くとも、せめてこんな料理を出す
のであれば自分の料理哲学を語ってほしかったです。わりとまだ早い
時間だったので本当に帰ってしまったのかな、実はキッチンにいるのかな
と思ってしまいました。
そんなわけでシェフとお話をすることができずにハテナをかかえたままレス
トランを後に。
2009年にミシュランの1つ星を取り上げられたものの、いまだ最高
のレストランとして名の知れるこのお店、オーナーはこの料理をどう思って
いるのか、イタリア人がこんな料理を堪能できるのか、またレストラン

ガイドの審査員で高評価をした人は何を食べたのか、ほんとにハテナは
いっぱい続くのでした。

以上すべてあくまで個人的な私と友達の2人の感想ですが「苦味と酸味と塩

の実験」みたいな趣味の世界でした。お金をとって出すプロの料理

ではないですね。でもこの先もこのレストランのことは忘れられないと思える

ある意味とっても楽しめた衝撃的体験でした。





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