« コーヒーとイタリア人 | トップページ | 『GIOLITTIジョリッティ』の夏の風物詩 »

2012/08/11

SFIDA DI TORREFAZIONE 焙煎工房の挑戦

0708_079_1

世界のバリスタコンテストの審査員も務めるコーヒーテイスターの
アンドレイ氏の案内でイタリアでトップ10の品質を誇るという
ローマ郊外の某焙煎工房へ。

イタリアにある焙煎所の数は約500軒。
これらの焙煎所は中部/南アメリカからのコーヒー豆をヨーロッパ
の輸入業者から、購入し、焙煎、製品にしてイタリア各地のバール
に卸しているというしくみです。

イタリアで飲まれるエスプレッソはたいてい数種類の豆がブレンドされ
ています。浅い焙煎をしたほうがいい豆もあれば温度をあげて深く炒
ったほうがいい豆もあります。一般的に焙煎が浅いとアロマの高い豆
になりますが深いとコクが出てコーヒーの表面にできるクレマもきめの
細かいものになるのです。
多くの大手工場ではその多種類の豆を生の状態で先にブレンドし
てから一気に焙煎します。
ところがこの焙煎工房では特注でつくったという小さな焙煎機で、徹底的
に豆の特徴にあわせた焙煎をしていました。つまり7種類の豆があると
すれば1種類ずつ焙煎時間も温度も微妙に変えているわけです。
そのようにすべての豆を焙煎したあと初めてブレンドするのです。
焙煎を1回ですますのと、何回にも分けてするのとでは手間隙がまったく
異なりますが、だからこそ複雑味のあるおいしいエスプレッソになるというわけです。
ここの焙煎所長はいかに自分たちがマイノリティな存在であるか、でも
これからもっと原材料としてのコーヒーの品質を問われる時代がくるだろう
ということをコーヒーの香ばしい芳香が漂うなか語ってくれました。
どの世界にいてもこういう人ってカッコいいー!こういうすがすがしい気持

ちにさせてくれる生産者にいつも会えるとは限りません。
ここまで手間隙かけた原材料としてのコーヒーも、さらにバリスタの腕
そして、その日の気温や湿度によって味が変わってくるというのだから
コーヒーの世界もほんとに奥深いものがあります。

そしてそこでふと思ったのが、ワインやオリーブオイルではソムリエや
鑑定士という職業があり、ちまたにはガイドブックというものがあふれてい
るけれど、エスプレッソ鑑定士、コーヒーテイスターまたはコーヒーガイド
ブックというのはほとんど皆無ということ。
これはイタリアのコーヒー業界がまだ大手の独占市場状態だからなのか。
だとすれば少し前のオリーブオイルの業界と同じ。オリーブオイルは今で
こそ小さな優良生産者がたくさんでてきたけれど、同製品のコンテストや
ガイドができだしたのはほんのここ数年のこと。こういったことを参考にし
たりしてオリーブオイルを選ぶイタリア人が増えてきたのは事実。
私がローマに来たころは食材店には有名メーカーだけで、今ほどたくさん

のオリーブオイルが並んでいることはなかったっけ。オリーブオイルの試飲会

やガイドなんてものもここ最近ポピュラーになって、やっと民主主義的な市場が

成立した感じ。消費量が多い食品であればあるほど、小さな優良生産者の

出番がなく不利なのかもしれません。まだまだ君主制のイタリアコーヒー業界。
これから時代の流れによってコーヒーはどのように変わっていくのかな。
そんなことを考えながら濃いエスプレッソをグイっと飲み干しました。

0708_082_1_2

おまけ。初めてみたエスプレッソティステイングシート。
エスプレッソカップの形がカワイイ!



|

« コーヒーとイタリア人 | トップページ | 『GIOLITTIジョリッティ』の夏の風物詩 »

生産者訪問 - VISTIA DI PRODUTTORE」カテゴリの記事