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2012/10/05

『FENECH フェネック』ワイナリー訪問

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サリーナからローマに戻ってっきたのだけれどあまりにもバタバタ
と多忙が続いて更新が遅くなりました。
これからどんどんアップしたいのですが。。。

エオリア諸島の中でも最もワイナリーの数が多いのがサリーナ島。
『CARLO HAUNER』-『CARAVAGLIO』-『COLOSI』-『TASCA D'AMERITA』
『D'AMICO』などなどこの小さな島に10社のワインメーカーがある。
島のワイン用ブドウ栽培総面積は100ヘクタールでうち90%が『マルバシア
ディ・リーパリ』と呼ばれる甘口のパッシートDOCワインをつくるブドウ
マルバシアとコリントネーロ。10%がカタラットとインツォーリアのシチリア品種
となる。今年はサリーナも異常気象の傾向があり、9月でもパラパラとしぐれ
模様の日が続き、収穫後なかなか天日干しが開始できなかったのが、ある日
『フェネック』のオーナーフランチェスコから電話がはいって、やっと天日干し
の作業に入ったから見においでとのこと。サリーナ島で3ヘクタールのブドウ畑
を持つこのワイナリーは海外でも国内人気があり、『マルバシアディ・リーパリ』
の生産者では最も知られるメーカーである。

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急いでかけつけてみると、ワイナリーで10年前ほど前から仕事をしている
というボアビッドがせっせと炎天下にブドウを並べている。ボアビッドはモロッコ
出身の26歳。エオリア諸島では農業やいわゆる肉体労働といえる仕事
はほとんどがモロッコ人だ。イタリア人は皆無。ボアビッドはまだ少年の
ころにゴムボートでイタリアに渡ってきた筋金入りの難民である。いろいろな
移民施設を経てサリーナ島にやってきた彼はこのワイナリーのオーナーに
目をつけられて働くようになる。ボアビッドのまじめさ、イタリア人とは比べ
ものにならない仕事ぶり、その人柄がかわれてワイナリーが滞在許可証を
世話してくれ、今ではここの跡取り息子のような存在になっている。
最近はサリーナに小さな家も買うことができたというボアビッド。
フェネックのオーナーも「今もし彼にやめられたらワイナリーはつぶれるよ。」と
笑っていたけど、その言葉通りワイナリーすべての業務をほぼ一人でこなす。
イタリア人のようにすぐにコーヒーブレイクもしないし、賃金の愚痴も言わない。
無言でせっせと作業するのみ。他のワイナリーも「ボアビッドのような人材が見つ
かればなー。」とつぶやいていたのを聞いたけれど、島では本当に優秀な人材
確保することほど難しいことはない。エオリア諸島に限らずイタリアがどんどん
移民を受け入れているのはこのような背景があって、もう彼らなしには経済が
成りたたないからだ。

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こんな目をおおうような危険な作業もお茶の子さいさい。
「ボアビッド気をつけてー!」と叫ぶと、笑いながら手をふる余裕。

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ワインに話を戻すと、『マルバシア・ディ・リーパリ』をつくるブドウは
マルバシア品種だけではない。ワインに黄金色をだすように少し
コリントネーロという赤ブドウもいれる。『FENECHフェネック』では
ブドウのBRIXが30になったところで収獲し天日干しにする。干した
あとのブドウは収穫時よりも約50%まで量が減る。

ワイナリーの天井部分にずらりと”カンヌッツィ”とよばれる”すのこ”が
ずらーっと並べられた光景にはちょっと感動するものがある。マルバシアの
甘いにおいがふわふわと漂って、ハチが狂ったように飛び回る。
海に面してカンヌッツィが並べられるのは、太陽と海からの風両方でブドウを
乾かしていくため。これは湿度の高い地方でやると瞬く間にブドウは腐って
しまう。15日間も外に干しっぱなしにできるというのは、風の島
サリーナならではのワインつくりで、なんと紀元前から行われていたそう。
確かに説明されなくとも、このワインが誕生したエピソードはたやすく想像が
つく。
サリーナに一歩足をふみいれたときからこの島を去るまで、本当に1度も風が
やんだことはなかった。肌をなでるようなやわらかい風に毎日包まれた。
風の威力はブドウだけでなく人間の体にも影響し、35度以上ある日でも
本当に汗がでない。このワインつくりが自分からだを通して納得でき
たとっても不思議な体験だった。

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タンクにねかせてある2010ヴィンテージを味見させてくれるオーナーの
フランチェスコ。
天日干しにした後、ブドウを搾り発酵。その後ワインは2年間タンクでねか
せられる。

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キリリと冷やして飲む『マルバシア・ディ・リーパリ DOC』。この色!
甘口ワインというとべったりした甘ったるい味を想像してしまうかもしれ
ないけれど、これはすっきりときれいな酸味もある飲み心地で、香ばしい
後味が長く残る。

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『フェネック』ではパッシート以外にも白(シャルドネ100%)と赤
(ネーロ・ダ・アーボラ)、そしてグラッパもつくっている。
白&赤のワインラベルはサリーナに別荘を持つイタリアの画家
リッカルド・フィオーレ氏のデザイン。

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FENECH フェネック

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