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2012/10/08

『FILICUDI - ALICUDI』 フィリクーディ島-アリクーディ島へ

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エオリア諸島の中でも最も未開の島、フィリクーディとアリクーディ島へ。
よっぽど好き者でもない限り観光客もほとんど来ないし、住民も極少で
諸島の中でもかなりマイナーな島である。5回目のエオリア諸島
の旅で今回はじめて訪れることができたのだけど、ここは前からものすごく
興味があった。なんせ25年前に初めて電気が通り、島の中では未だにロバ
が車の代わりというような別天地なんである。

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サリーナから小型船に揺られること1時間ちょいでフィリクーディが
見えてくる。船長の話では9,8kmの長さの島に現在の250人の島民
が暮らしているとのこと。ここまでくると島の上にまばらにぽつぽつと家
が見えるけれど、まともな道路も港のところだけで上部の方には道がない。
道路はないけれど見えてくるのは島中にある段々畑である。この畑は
古代ローマ以前のものらしく、ここでオリーブやワイン用のブドウを栽培
していたそう。この段々畑はかなり絶壁のところまでしっかり残っていて
しかも島全体に確認することができる。
こんな小さな島に見る見事な段々畑はもう神業としか思えない。

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フィリクーディ島の見所のひとつである洞窟。
もうこのあたりの海水の美しさには絶句した。単に水が透き通って
いるからきれいというのではない。島に近づくほどコバルトブルー
からエメラルドグリーンに変わっていく水の色の見事なグラデー
ションが素晴らしい。
そしてじっと目をこらすと船の上から、海中の魚の群れから下の
海底にある岩までくっきり見える。

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ここが洞窟の中。
カプリ島の青の洞窟みたいに観光客のボートで渋滞することもない
海の色は自分の目が水色になるのではと思うほどのまばゆさ。
魚や海底の岩にへばりつくウニまで丸見え。

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船から飛び込んでみました!
と、言いたいところだけれど、これはストロンボリの炎の祭りに
来ていた大道芸人たち。みんな海水の美しさにもう体が勝手に
反応してしまうという感じだった。

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洞窟の中から外を見た光景。どこを見ても絶景しかないという
お墨付きの世界自然遺産である。
水平線の上にはアリクーディ島が見える。

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洞窟を出たところで、船長がなにやら望遠鏡で島の上部を眺めている。
「あ、いるいる!」と興奮した声が聞こえてきたのでたずねてみると
島の絶壁に野生のヤギがいるという。望遠鏡をのぞいてみるとその
それは本当だった。肉眼で確認できるかどうかの大きさなのだけれど
この写真の中央と左上に白いヤギが見える。こんな絶壁で何を食べて
どうやって生きているのかわからないけれど親子みたいな群れも見えた。
普段には絶対に出くわさないすごい光景の連続で、頭がフラフラ
してくる。

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フィリクーディの港に到着。

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フィリクーディに上陸する前に船内の中ではランチの準備が着々
と進められ、トマトソースのいい匂いが食欲を呼び起こす。

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料理人はみんな船員なのだが、これがみんな慣れた手つきでけっこう
揺れる船の中でも、決してキャンプ料理でなくちゃんとしたトラットリアの
ような正当なエオリア料理をだしてくれるのだ。

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本日のメニューは前菜がメカジキのマリネに小魚のフライ。
プリモはメカジキをトマトソースで煮込んだパスタ。これに白ワインもつく。

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さっきまで甲板を走り回っていた船員がいつのまにかエプロン姿
になっていて手際よくパスタを配っている。いくら船の上と言っても
食べることにはみんな絶対に真剣になるのでやっぱりイタリア人って
おもしろい。こういうところでも絶対手を抜かない。

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これは絶品だった。こんな大盛り食べられないよー!と思っていたけど
ぺロリと平らげられた。メカジキとケイパーがトマトソースでじーっくり
煮込まれていておいしかったー。

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もう一度言うと、船の上といえど食事の手抜きはない。
最後のコーヒーも当然メニューのひとつ。
できあがったエスプレッソを鍋に入れて砂糖とシャカシャカと
かき混ぜクリーミーなコーヒーを配ってくれる副船長。

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ランチの後フィリクーディ島に上陸、アリクーディ島に行く前に
突如現れたのが海面から突き出た角。船に乗っていた人たちも
いっせいに驚きの声をあげていた。まさに自然の偉大さ、偶然の
おもしろさに度肝を抜く光景。この景色を表現できる言葉はない。
自分の存在がただただ小さく感じる。

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これも海底から爆発したときに形成されたもので”カンナ”と呼ばれる。
海上から見える部分が69メートル、海底に25メートル続いている。
このカンナのてっぺんに小さなマリア像が建てられていた。

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フィリクーディ島から小型船で約1時間、アリクーディ島が見えてくる。
エオリア諸島の中でも最西に位置する。フィリクーディよりもさらに小さく
面積は5,2kmの長さ。ここに90人の島民が住んでいる。

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島の表面をよく見ると黒い滑り台のような帯がある。
これは何万年も前に噴火した火山灰が海面に流れ落ちた跡。

アリクーディ島にも少し上陸時間があった。
小さな港にはホテルとレストランも1軒ずつあった。
ここに電気が通ったのはつい最近のこと。
それでも電気が通ることになったときには島の人々は大反対だったそうな。
その理由が今まで電気のない生活をしてきたのに、電気が通ることによって
新たに面倒なことが増え、不便になるから。
電気のない暮らしは「不便だけれどそれでいい」ということではなく、「便利
だった」のだ。だから電気が通ること、それは島の人にとってはひとつの
「あきらめ」だったそう。
実際に島にきてみるとその理屈がよくわかる。

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ここで出会った光景や人々の暮らしは自分が今まで経験してきた
それとはあまりにもスケールが違いすぎて、呆然とするばかりだった
けれど、この2つの島に行ったことは何かとても貴重な経験だった。
目から入ってくるもの、匂い、風、海を通して体感したもの。何がどう
とうまく言えないけれど、いままで
死んでいた自分の中の野生の部分の細胞が生き返ったような感じが
した。
サリーナに戻る船の中でそんなことを考えながら、疲れに襲われて

眠ってしまった。










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