« 『THE CUISINE MAGAZINE August 2014 料理通信8月号』 | トップページ | 夏のダッテリーニトマト »

2014/07/19

『CANTINA UMBERTO BORTOLOTTI ウンベルト・ボルトロッティ』のワインとイタリアのワインマーケティング

Dscn679211

ワインほど人が作ったマーケティングに左右される飲み物はない。
と最近よく思うのが、フランチャコルタの人気ぶり。
フランチャコルタとは北イタリアのロンバルディア州で作られる発泡酒
で、シャンパーニュのように瓶内で2次発酵させたワイン。
他のイタリアワインに比べ歴史が浅く、1950年代後半に原産地
呼称が認可された、いわば新しい世代のワイン。
ロンバルディアの大型ワイナリーベルルッキ社のオーナーが大のシャンパン
好きで自分達の土地で作ってみたいとトライしたのがこのワインの由来だそう。
フランチャコルタはイタリアでも海外でも一流レストランのワインリストに
名を連ねていて、日本でもおなじみになっています。
ボトルもシャンパンと見間違える垢抜けたデザインのものが多く、イタリアワイン
の中でもかなり高価格。
これほどうまく”ブランドイメージ”というのを創り上げられたワインは右に出る
ものないと感心するほど、その高級ワインとしての地位はがっちりと
確立されています。こういうところがやっぱり北イタリアだなー。
個人的にはシャンパンに負けず劣らず!と胸をはれる『MONTEROSSA モンテロッサ
や他のフランチャコルタに比べ辛口の『GATTIガッティ』が好き。
ただしこのフランチャコルタブームだからこそ声を大にして言いたいのが
ブランドイメージだけでワイン自体はぜんぜんおいしくない!というのがごろごろ
あふれてるということ。フランチャコルタというドレスに身を包まれた安ワイン
が高価格で販売されているのは、なんとも見苦しいものがあります。

ちなみにイタリアでマーケティングの失敗で売れ行きが悪くなっているのが
キャンティ・クラッシコ。80年代から90年代にかけてイタリアワインブーム
を築き上げた歴史のあるワインですが、有名になりすぎて2000年以降から
安いキャンティを大量生産する生産者が増加し、キャンティ=安ワイン、という
これまた悲しい構図がいつの間にかできあがってしまったようです。
最高のブルゴーニュのような職人仕込みのキャンティ『Castelli in Villa カステッリ
・イン・ヴィッラ』のようなワイナリー、つまり丁寧に時間をかけて造り上げた最高の
ワイナリーなんか、営業妨害もいいところ。
このワイナリーの「キャンティ・クラシコ・リセルヴァ2006」を販売しているある
ローマのワイン屋さんでは、10ユーロのキャンティがはびこる中で43ユーロ

(約6000円)のキャンティは外国人しか買わないよと嘆いていました。
このレベルのワイナリーがもしモンタルチーノにあれば倍の価格でもバンバン
売れていたと思います。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノもまたマーケティング
に成功し、世界に高級ワインのブランドを確立したワイン。
腐っても鯛、まずくてもブルネッロ。
そう思うと、他人、もしくは同業者が勝手に創り上げたイメージによって
自分たちが代々から生産してきたワインの売れ行きが左右されるとは
本当に怖い話です。

さてイタリアワインの発泡酒に話しを戻すと、まずいフランチャコルタもあれば
最高のスプマンテもまた存在します。
それが『ウンベルト・ボルトロッティ』のプロセッコ。
ヴァルドッビアーデネ地区のど真ん中に位置する、自社でブドウ生産している
ワイナリー。
『Valdobbiadene Prosecco Superiore Extra Dry 47 DOCG プロセッコ
スーペリオーレ エクストラドライ 47』はロンドンのハロッズで販売されている
唯一のプロセッコ。ブドウ品種は90%がグレーラ(旧プロセッコ。2009年より
ネーミングが変更)、10%がピノビアンコ。
ブーケの芳香、泡の繊細さ、どこまでも伸びるきれいな酸味、キレのよい辛口
の飲み心地は見事。

Dscn7288

発酵タンク内にて第2次発酵を行なうという、このワイナリー独自の醸造
で造られた「Bulllae ブルラエ」も爽やかながらも味わいに深みがあり
美味。ヴィンテージは2007年。8年越しのスプマンテ。このワイナリーの
ワインの特徴はアペリティフ向けの可憐なスプマンテではなく、しっかりした
食事にあわせられる存在感。
この真夏の蒸し暑いローマでキュッと喉を癒すのもよし、また秋口や冬場にも
しっとり、じっくりと飲みたいワインなのです。

プロセッコは過去の安ワインのイメージから抜け出すべく、2009年に
プロセッコスーペリオーレ生産者組合が一丸となって、ワインとブドウの名称を
変更しました。『プロセッコDOC』から『ヴァルドビアッデネDOCG』となり15の地域
(ドロミーティ山脈からヴェネツィア市近郊)、全6000ヘクタールで生産されています。

ブドウの名前もプロセッコ品種からグレーラに変更。
世界のあらゆるところで造られている”スプマンテ(発泡酒全般をさす)”
と一線を引こうというわけです。
食事の前にBARで細長いグラスでちょろっと飲む甘い発泡酒ではなく、しっかりと
ブドウのうまみが感じられる高品質ワインとしての認識を広めようとしています。
それも『ボルトロッティ』のようなワイナリーがこの地域に存在するからこそ
可能な大改革なのかもしれません。

*******************************

CANTINE UNBERTO BORTOLOTTI

*******************************








|

« 『THE CUISINE MAGAZINE August 2014 料理通信8月号』 | トップページ | 夏のダッテリーニトマト »

ワイン - VINO」カテゴリの記事