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2014/12/21

死者を慕うシチリア菓子『MARTORANA マルトラーナ』

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12月8日の聖母受胎祭、12月25日のクリスマス、26日聖ステファノの日と
イタリアのキリスト教にまつわる祝日が重なる12月には、日本のお正月のように
家族がみんな集まって、伝統料理と伝統菓子を食べる習慣があります。
イタリアでも独特の歴史と銘菓が存在するのがシチリアのパレルモ。

もうクリスマスというのに先週まで海水浴をする人がいたほど生暖かい
パレルモへ行ってきました。

この写真は市内の老舗菓子店『COSTA コスタ』。先月のJAL機内誌に掲載された
そうで、オーナーがお店に入るなりそのページを誇らしげに見せてくれました。
このショーケースにケーキとともに並ぶ果物。これは実はアーモンド菓子なのです。
その名も「FRUTTA MARTORANAフルッタマルトラーナ」。マジパンでできています。
中はやわらかく、とにかくものすごく甘い。喉が痛くなるくらい甘い。
それにしてもさすがシチリアの菓子職人、お店によっては本物の果物と全く
見分けが付かないほど見事なものがあります。

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このお菓子の由来は古く、1143年に建てられたパレルモ中心地にあるマル
トラーナ教会の修道女が当時のローマ法王訪問のときに捧げるために発案し
たもの。アーモンドもシチリアの名物なので、身近にある材料を使い斬新な
お菓子を考えたということでしょうか。昔の修道女さんは今どきのモダン
キュイジーンシェフのごとくクリエイティブだったのかもしれません。
この協会ではその後、修道女達がこのマルトラーナ菓子作りに励み、ここから
パレルモや近郊の町にも広がったといわれています。

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マルトラーナ菓子には騎士や人の形をしたものもあります。
フルーツのマルトラーナと共に、このお菓子は死者を思い起こすために
使われるようになりました。
11月1日は聖人の日といって、聖人となった人を祭る祝日で、お墓参りに行く
習慣があります。この日からクリスマスにかけての冬の期間、小さな
こども達のいる家庭ではこのマルトラーナ菓子をあちこちに隠します。
こども達がマルトラーナを発見すると、よいこにしていたから天国のおば
あちゃんとおじいちゃんがお菓子をくれたのだよと言い、また来年の
この日までよい子でいるんですよ、と教育していたそうです。
こども達に亡くなったおばあちゃんがいつもどこかで見ていると身近に
感じさせるのです。
パレルモのある菓子店のオーナーは「自分の家では今でもこども達のために
人型のマルトラーナを家のあちこちに隠して、宝探しのように遊びながら亡く
なったおばあちゃんの話をみんなでしているよ。」と話してくれました。

マルトラーナを食べておばあちゃんを想い出す。
マルトラーナはだからこんなに甘いのかもしれません。







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