試飲会 - DEGUSTAZIONE

2015/01/26

ローマ サンジョヴェーゼワイン試飲会『SANGIOVESE PUROSANGUE 2015』

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先週末テルミニ駅の隣にある【HOTEL RADISSON】で開催されたサンジョ
ヴェーゼワインの試飲会『PUROSANGUE2015』に行ってきました。
これは毎春恒例のイベントで、トスカーナ、エミリアロマーニャ州のサンジョ
ヴェーゼ品種を使ったワインの試飲会です。今年は約70社ほど出席してい
ました。結構こじんまりとした小規模のイベントなのですが、実はとても穴場的
な試飲会なのです。

毎年2月にキャンティやブルネッロの生産者組合が国内外のバイヤーや
ジャーナリストを招待し”アンテプリマ(デビュー前)”と呼ばれる、ボトリングした
ばかりの新ヴィンテージワインの公式発表会があります。
『PUROSANGUE』は、その”アンテプリマ”の前に新ヴィンテージが飲める、つまり
アンテプリマのアンテプリマというわけ。

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ブルネッロ・ディ・モンタルチーノコーナーから。
『LE CHIUSE レ・キウーゼ社』
現オーナーであるこのお兄さんは同地域で最も大きな規模のワイナリー
『ビオンディ・サンティ』の親戚にあたるそう。彼のお母さまがこの有名
ファミリーから抜け、独自のワイン造りを始めたそう。
所有するブドウ園はたったの6ヘクタール。20年以上の古いブドウの樹
から収穫し、大樽で3年熟成させた伝統的な造り。
2009と、4年熟成させた2009のリセルヴァ、そして新ヴィンテージ2010
年を縦飲み。
澄み切ったミネラル感とはじけるような甘酸っぱさ、妖艶なブーケが印象的。
どれもすごい高級感あり。

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『FATTOI ファットイ社』
ここは大好きなワイナリー。ブルネッロワイナリーの中でもコストパフォーマンス
がよく、特にここのロッソ・ディ・モンタルチーノは酒屋で大体12ユーロくらいなので
普段飲みのおうちワインに最適なんです。
ここも、数日前にボトリングしたばかりというブルネッロ2010を持ってきて
いました。大樽とフランス製のトンノーでの2種類の木樽での熟成。まだちょいと
早いですがじっくりと成長していくような期待させられるポテンシャルな味わい。
いつまでもグラスに残る素晴らしい芳香。
こういうワインを飲むとどうしてもグリルした牛フィレが食べたくなって困るのです。

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『FATTORIA DEI BARBI ファットリア・ディ・バルビ社』

ちょっと面白いワイナリーが出ていました。というのもここは大量生産型
の巨大ワイナリーでイタリアでは今やどこのスーパーマーケットでも販売
されています。わざわざこんな小さな試飲会に参加しなくとも、いまさら
宣伝する必要もなかろうに、と思わされるのですが、なぜかちゃんと広報
の人が来ていて今年のできなど説明していました。
ここもブルネッロ2010を試飲。

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こちらはブルネッロワイナリーの大御所たち。
このラベルを見ただけでテンションあがります。

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『PIETROSO ピエトローゾ社』

イヤーすばらしかった!ブルネッロ2009。
恐るべし競合相手たちがこれでもか!とすごいワインを出してくる
激戦地区の中でも抜群。
香りや味わいの奥行きが何重にもこだまするような広がりに鼻膏が震えま
した。秒単位で変わるそのグラデーションを堪能。
今まで弦楽4重奏を聞いていたのが、急にオーケストラの交響曲を
聞くような感じで、もっともっと耳を澄ましたくなるようなワイン。

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ブルネッロのお次はキャンティ・ルフィナのコーナーへ。

数年前のこのブログにも書きましたがルフィナは大好きな地域。
フィレンツェの北東にあり、キャンティの中ではもっとも北で高地に位置
するゾーンです。ルフィナ地区は北から南まで約18KMでブドウ栽培面積
はキャンティクラシコの100分の1。キャンティクラシコとは土壌も気候も
異なるため、同じサンジョヴェーゼのワインでも特徴が異なります。
ルフィナには22社のワイナリーが存在しますが、その半分が有機栽培を
しています。残りの半分もほぼ無農薬栽培にてブドウを育てているという
地域全体が今の流行りとは別に昔から自然派ワインを造っていたという
すごい地域です。

キャンティルフィナ生産者組合はあるのにキャンティクラシコやブルネッロ
とは違い、”アンテプリマ”のイベントは行っていないのでこの試飲会では
とてもよい機会。

『FRASCOLE フラスコレ社』
ルフィナ地区の中でもかなり北に位置するワイナリー。近くには1654メートル
ものファルテローネ山があり、ワイナリーも標高400メートルのところにあり
ます。既に99年からビオワインとして生産しています。
フラスコレDOCGとフラスコレのリセルヴァ2009 DOCGを試飲。
フラスコレのほうはステンレスタンクのみの造りですが、これで十分満足感
のあるワインでコストパフォーマンスもよい。11ユーロくらいで酒屋の棚に並んで
います。リセルバは12ヶ月の熟成で、華やかさあり品格あり。好きだなー!

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『SELVAPIANA セルヴァピアナ社』

ここのワイナリーは最もルフィナの特徴を持っているように感じる
ワインです。色がキャンティクラシコのような濃いルビー色ではなく
薄いガーネット色。立ち込めるその匂いだけでうっとり。
キャンティルフィナ2012とリセルヴァ2010と同じくリセルヴァの2009。
どちらも伝統的な造りで、ミネラル感溢れるワイン。
ブルゴーニュ的な高貴さもあり。
リセルバはできのよいヴィンテージだけ造られ、特に2009は最高
のヴィンテージとのこと。納得。

試飲会には他にもキャンティクラシコやヴィーノ・ノービレのワイナリー
そしてボルゲリからは『ミケーレ・サッタ』やエミリア・ロマ
ーニャ州のサンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャのワイナリーも参加していました。

唯一残念だったのはあまり生産者が来ていなかったことでしたが、それでも
いろいろなサンジョヴェーゼの新ヴィンテージをじっくり堪能できました。
試飲会には朝から参加してバンバン飲んだのですが、やっぱり朝って口が敏感
なのか愉しめました。一緒に行った友人とこれからは「朝飲みに限るね!」
と言い合って帰宅。日曜日でよかったー。

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SANGIOVESE PUROSANGUE

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2013/03/30

バルバレスコ『ALBINO ROCCA アルビーノ・ロッカ』試飲会

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ピエモンテのバルバレスコ大御所ワイナリー『アルビーノ・ロッカ』の
試飲会へ。昨年の10月に自家用機が墜落し、64歳でこの世を去った
経営者アンジェロ・ロッカ氏の追悼の意味もあり、ローマのATHENEUM
というファブリッツィオ・ルッソ氏率いるワイン団体が主催したもの。
それにしてもワイナリーのオーナーで自家用機やヘリコプターを趣味で
所有いる人は結構多い。ピエモンテだけでも何人かのオーナーに自慢の
品を見せてもらったことが多々あります。確かにあの世界自然遺産
の候補にもあがったバルバレスコやバローロの丘の上空を旋回するの
はさぞかし気持ちよさそうですがその事故の代償はあまりにも大きいもの。

現在はアンジェロ氏の跡に残された3人娘がワイナリーを引き継いでいます。
今回の試飲会には次女のモニカさんによるものでした。
1960年にワイナリーが創立され、彼女で4代目だそう。
23ヘクタールの自社畑から11種類のワインを生産しています。

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出された8種類のワイン、あくまで個人的なコメント。
その前に。残念だったのが、会場に着いた地点でワインが既にグラスに
注がれていたこと。これもあくまで自分の偏向なのですが、注いだ瞬間
のワインからティスティングしたいのです。特にバルバレスコの古いもの
なんかだとその変化の仕方に興奮するのに、その楽しみをちょっと省か
れたような気がしてしまいました。注がれてからどれくらい時間が経った
かはわかりませんでしたが、これは残念!
空気を含ませばっちり飲み頃にされてから飲むよりも、抜栓してすぐの
ワインの素性を知りたくありませんか、みなさん?
前置きはさておき。

①PIEMONTE CORTESES 2012 
ピエモンテ・コルテーゼ

ピエモンテというと赤ワインのイメージですが、この地方の白って
結構好きなんです。ロエロ・アルネイスにしてもこのコルテーゼにしても
意外とトロピカルな味わいで飲みやすく、チャーミングなワインが多いのです。
フリウリやアルト・アディジェの厳格でプライドの高そうな白とはまた違う、親
しみやすさみたいなものがあります。
アルビーノ・ロッカのコルテーゼも例外にもれず。
コルテーゼ種100%。6ヶ月ほど1年越しのバリックにかけていますが
言われない限りほとんど樽香は感じません。
洋ナシ、シトロン、カモミーユ。口に含んだ瞬間、目の前にキラキラした
黄色い星がいっぱい見えました。このトロピカルなおいしさ!心地よい酸味も
あって香り味わいともに余韻も長く言うことなし!これスキッ!
まだ2週間前にボトリングしたばかり。

②BERBERA D'ALBA GEPIN 2011
バルベーラ・ダ・アルバ ジェピン

ワイナリーでは2種類のバルベーラをつくっていますが、こちらはクリュで
50年の樹齢の畑から。
1年半、90%が大樽、10%バリックで熟成しています。

プルーンやブラックチェリー、タバコの葉。ちょっと甘めでモダンタイプの
バルベーラ。きれいなタンニンに包まれています。

③BARBARESCO OVELLO VIGNA LORETO 2008
バルバレスコ オヴェッロ ヴィーニャ ロレート

4種類リリースされているバルバレスコのうちのクリュ畑の1つ。
0.5ヘクタールの35年の樹齢のネッビオーロ種から。

オーストリアとドイツ産の大樽で約2年の熟成。
ブーケやバラの香りがきれいだけどまだ広がりが出るには時間が
かかりそう。口に含むと酸味もだけれどミネラル感がすごい。
2008というヴィンテージだからもあってかトラディショナルで厳格な印象。

BARBARESCO OVELLO VIGNA LORETO 2005

こちらも2年の大樽熟成。
2008よりも香りに少し奥行きが出てブーケ以外にもバルサミコやリクリ
ツィアを感じる。またフレッシュな木イチゴやチェリーも隠れていて香り
のモザイクがきれい。
飲んでみると味わいのほうが2008との差がはっきりしていた。
よりボディー感があって余韻もかなり長い。
タンニンもエレガントになっている。

BARBARESCO OVELLO VIGNA LORETO 2001

ワイナリーでは2004年から大樽をオーストリア・ドイツ産のものに変えています。
そのせいもあってかどちらがいいというわけでもありませんが最初に試飲し
た2種類とは違いがありました。
また2001というヴィンテージがかなりよかったこともあってか、本日試飲した
バルバレスコの中ではダントツによかった1本。
フレッシュな赤い果実に苔や皮、森の中にいるような匂いに酔いました。
何よりも芯のあるミネラル感が他の2つのヴィンテージとはっきり品格に差を
つけていました。タンニンのやわらかさも見事。

⑥BARBARESCO BRICH RONCHI 2009

バルバレスコ ブリック ロンキ

こちらはもうひとつのバルバレスコ。
90%が大樽、10%バリックで2年の熟成。
上記のOVELLOと同じくこちらも2004年以降は大樽のメーカーを変えて
います。
香りが若干弱いわりに味わいは既に飲み頃という感じ。
このヴィンテージはかなり暑い年だったのでそれが影響しているという話。
モダンな印象で飲みやすいが、個人的にはOVELLOのほうが好き。

BARBARESCO BRICH RONCHI 2006

こちらも飲みやすく愛らしいインプレッション。
逆に言うとミステリアスさがない感じ。
ブラックチェリーのタルトを思い出すような甘さに、オレンジの柑橘
系の香りも漂う。

BARBARESCO BRICH RONCHI 1998

これは残念ながら、澱が入りすぎてちょっとわかりにくかった。
フィルターにかかっていないワインはポリフェノールなんかが
歳月が経つとこういうことになるのですが、注ぐ側が気をつければ
まったく問題ないのですが、今回は主催者側からも謝罪があるほど
入っていたのでした。
それでももう変わりのボトルがなかったのでなんとかティスティング。
15年の歳月が経っていましたがかなりフレッシュさを保っていました。
98というのはそこそこよかったヴィンテージ。
赤いフルーツやバルサミコ、苔にキノコの香り。その後しばらくすると
コーヒーやカカオ、クローブに香辛料の茶色い表情に変貌していました。
最初は可憐で清楚な姿を見せたものの、試飲会がお開きになるころ
には妖艶な熟女に七変化。
これは飲みがいがありましたね。
バルバレスコはやはりこういうのがないとちょっと物足りない気がして
しまいます。

アルビーノ・ロッカでは、大樽の種類を変えたり、大樽とバリックの割合
のバリックを少なくしたりと、年々小樽の存在を控えています。
ここ数年かなりのワイナリーが同じことをやっていますが、どの地方でも
伝統的な醸造に帰着している傾向があるようです。

いずれにしてもアンジェロ氏の突然の訃報を聞いたときにはこのワイナリー
って今後どうなるのだろう?と思ったのですが3人姉妹がお父さんの情熱を
しっかり引き継いでいるのを目の当たりに感じてちょっと感動的な試飲会でした。

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AZ. AGR. ALBINO  ROCCA

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2012/06/19

『L'ANGOLO DIVINOランゴロ・ディ・ヴィーノ』フランス白ワイン4種試飲会

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ローマ中心街カンポ・ディ・フィオーリにある『ランゴロ・ディヴィーノ』。
最近わりとよく行くようになったこのワインバー。
なかなかここの品揃えが気に入っています。わりとしょっちゅう新しい
生産者のものが入っているのと、オーナーのマッシモが1本1本詳しく
説明してくれるところもグッド。

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このワインバーでソムリエCRISTIANO RIZZUTOクリスティアーノ・リッ
ツゥート氏によるフランス白ワインの試飲会(40ユーロ)がありました。
試飲ワインは写真左から下記のとおり。

①CHATEAU LA LOUVIERE 2000
ボルドー南部にあるアンドレ・リリュトン氏のワイナリー。
85%セミヨン、15%ソーヴィニオン。
輝く黄金色。2000年は暑い年だったそうですが、それにしても12年
たっているとは思えないフレッシュ感に驚き。柑橘系のフルーツ味に
ミネラル感。こういうのはイタリアワインにはない表情。

②CHABLIS GRAND CRU VAUDESIR LA CHABLISIENNE 2004
お次はブルゴーニュのシャルドネ。わりと大きな共同組合が生産する
シャブリ。シャブリは最低7-8年たってからのほうがよいとのクリス
ティアーノ氏の言葉通り、ちょっとまだ飲むには若い。それでもシトロン
の典型的なシャブリの芳香にバニラ、いぶしたような香りがとても心地
よい飲み口。タンニンも感じる。

③HERMITAGE CHANTEUSE ALOUTTE CHAPOUTIER 2000
赤では、シラーやグルナーシュなどローヌ地区の在来品種100%のワイン
が有名な生産者。350ヘクタールの自社畑すべてがビオディナミ製法。
ここのマルサンヌ品種100%の白。

マルサンヌ品種ってイタリアワインでは聞いたことがないのでどんな
ワインかな、と楽しみにしていたのですが、これなんとも不思議なワイン!
まず香りがりんごジュースのような甘いフルーツ香なのですが、飲んで
みると予想を反して辛口。香りだけ嗅ぐと甘口ワインのようなのに意外
な展開。このワインのドラマ性には圧倒されました。
そしていかにもマセラシオンが長そうなタンニンありの白。ミントや
ライムのフレッシュ感にアーモンドのような後味が残る。
そして始めてみた点字入りのラベル。このワインにはやられました。

④PINOT GRIS VENDAGES TARDIVES HERRENWEG ZIND-HUMBRECHT 2004
アルザスのデザートワイン。
こちらもビオディナミ製法。
アーモンドや甘く煮たフルーツを思い出す香り。それでもしっかりした
酸味たっぷりで重たい飲み口はまったく感じずキレイなバランス。
香りといい後味といい心打つ高級感にため息。

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さてさて、この試飲会のよかったのはワインだけでなくお料理も。
1本目と2本目のワインに合わせて出てきたのは『マウロ・セコンディ』
という知る人ぞ知る手打ちパスタ専門店のパスタ
を使った季節の野菜のティンバッロ。
ティンバッロとは詰め物という意味ですが、ラザニアのように生パスタ
生地にズッキーネやにんじんを挟み込んで焼いたもの。
見た目はなんてことないのですが、この料理のおいしさには驚愕しました。
卵がおいしいからなのか、セモリナ粉がいいのか、このパスタ生地の
おいしさがどこから来るのか知りたーい!!!
食感、口当たり、甘み、絶品で無言でぺロリとたいらげてしまいました。
同じテーブルの人たちも口々にみんな絶賛。

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3本目のワインに合わせて出されたこちらも忘れがたい料理。
インディーヴィアという葉野菜といわしの重ね焼き。
干しブドウと松のみが入っています。これはローマ料理の基と
なったユダヤ料理のひとつ。
マッシモのお母さんの手料理です。
以前に何度かレストランで食べたものよりもたっぷりいわしが
入っていて好みの味わい。イタリア料理にしてはちょっと和食に近い
かも。この素朴なお料理は3本目のワインエルミタージュと抜群の
相性でひとくちひとくち満喫しました。

フランスワインはまだまだ勉強中なのでいつも発見がたくさんあって
ほんとに愉しい。でも難点はフランス語のワイン名が覚えられないこと!
ちょっとフランス語でも勉強するかー。
発音だけ。。。

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L'ANGOLO DIVINO アンゴロ・ディヴィーノ

Via dei Balestrari 12-14
Tel 06 6864413

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2012/05/23

古くて新しい『CHIANTI RUFINAキャンティ・ルフィナ』 は新世代のワイン

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先日たまたま日本の某ワイン誌上で、今おススメイタリアワインと
いう特集を見る機会がありました。そこには北から南までの有名イタリ
アワインが解説付きで出ていたのですが、ざっと読んでの感想は「へえ
ーいまだに90年代に流行したワインがもてはやされているんだ」ということ。
20年前にアメリカ市場で一世風靡した高額イタリアワインがそのまま
最近のワイン専門雑誌に”今注目のおススメワイン”として取り上げられて
いるんですね。同じような内容の記事が過去に何度あったでしょうか。
ワインはもちろんファッションと違い、ころころとその流行が変化する
ものではないし、本当にいいワインはいつの時代もその価値が変化
するものでもなく、もちろん90年代に登場したワインが全部駄目という
ことではないのですが、バブル時代に一世風靡したある種のワインは
イタリアワインの中でも、大きく見ると実は偏ったカテゴリーに属している
ワインであり、輸出向け、アメリカ向けにつくられた人工的なワインが
多いということが言えます。

90年代の世界的な経済成長時とイタリアワインブームのときには競って
フルボディーで華やかさ満載のワインが各地でつくられて、ヴェルサーチ
やアルマーニのスーツとともに世界中に洪水のごとく高級品として輸出さ
れていました。伝統的な大樽造りをやめバリックで熟成したモダンなワイン
を造ったり、過酷なバトナージュでマロラティック発酵を強制したり、加酸や
加アルコールしているワインまであり、それはそれは濃いワインが売れた
時代でした。過去に90年代ほど人工的なワイン造りを行っていた時期はな
いのででしょうか。90年代中ごろに全国のワイナリーをかなり訪問しましたが
ワイナリーのオーナーが得意げにバトナージュや電力で回転させるバリック
樽など新しい醸造機器を自慢気に見せてくれたのを覚えています。そんな
ワインが20年後にもまだ話題の中心になっていることにちょっと首をかしげ
るのです。これらのワインは濃すぎて料理にあいにくい上、高額で普段飲み
はできないというハンディもあります。そんなところにまた時代遅れの風を
感じるのですが日本の雑誌だけでなく、イタリアでもいまだにこれらのワイン
ばかり集めた試飲会があったりします。
今は自然派ワインが勢力を増して、イタリアではいろいろな自然派団体や
自然派ワイン専門の酒屋などもあちこちに見かけるようになり、これも
一つのイタリアワインの動きと言えると思いますが、今日はそれとはまったく
別で本当に久々に新鮮な新しいワインの風を感じました。

ローマの老舗酒屋『TRIMANI トリマーニ』のオーナー、パオロ・トリマーニ氏と
ワインジャーナリストのジャンパオロ・グラヴィーナ氏による『キャンティ
ルフィナ』の試飲会。会場は市内中心部にある大統領官邸からすぐ近くの
VILLA SPALLETTIヴィッラ・スパレッティ』という1900年代の貴族の館を改装
した緑豊かな隠れ家的レジデンスホテル。

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『キャンティ・ルフィナ』というワインはDOCGですが『キャンティ・クラシコ』
の影に隠れてあまり知られていないといえるかもしれません。
でも15世紀には『ルフィナ』として生産されていた記録がある歴史の古い
ワインです。
『キャンティ・クラシコ』のブドウ栽培総面積が70,000ヘクタールに比べ
『ルフィナ』はたったの750ヘクタール。約100分の1です。この小さな
地域の中にたった22社の生産者が『キャンティ・ルフィナ』をつくっています。
『キャンティ・クラシコ』に比べ『ルフィナ』は高地にあり大体200-250mt
中には標高500mtのワイナリーもあり、味わいにミネラル感の高いのが
特徴。フィレンツェの北東側、ほぼアッペンニンニ山脈のふもとに位置します。

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ルフィナの全22社の生産者のうち8社の12種類のワインをティスティング。
2010年から2008年ヴィンテージです。

1)I VARONI CHIANTI RUFINA DOCG 2010

2)FATTORIA DI GRIGNANO CHIANTI RUFINA DOCG 2010

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3)SELVAPIANA CHIANTI RUFINA DOCG 2010

4)VILLA TRAVIGNOLI CHIANTI RUFINA DOCG 2009

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5)COLOGNOLE CHIANTI RUFINA DOCG 2009

6)FRASCOLE CHIANTI RUFINA DOCG 2009

7)IL POZZO CHIANTI RUFINA RISERVA DOCG 2008

8)I VERONI CHIANTI RUFINA RISERVA DOCG 2008

9)FRASCOLE CHIANTI RUFINA RISERVA DOCG 2008

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10)COLOGNOLE DON CHIANTI RUFINA RISERVA DOCG 2008

11)CASTELLO DEL TREBBIO LASTRICANO CHIANTI RUFINA
RISERVA DOCG 2007

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12)SELVAPAIANA VIGNETO BUCERCHIALE CHIANTI RUFINA
RISERVA DOCG 2007

写真付きのは得に素晴らしいかったワイン。
全ワイナリーの生産者が来ていて、彼ら一人ひとりによる解説もあり
なんとも贅沢なティスティング会だったのですが、このあたりも『ルフィ
ナ』的。地域に生産者が少ないため、みんな家族みたいに仲がいいの
です。『ブルネッロ』の組合はいろいろもめてたっけ。。。
またルフィナのワイナリーのオーナーはほとんどが地元のトスカーナ人。
他のトスカーナワイナリーのようにアメリカやイギリス企業の資本が投資
されていないのもまたいいのです。

さてキャンティ・ルフィナとそのリセルヴァを試飲したのですが、何に感動
したかというと、そのすがすがしい飲みやすさ。
キャンティ・クラシコやロッソ・ディ・モンタルチーノは発売されてすぐの
ビンテージは酸が立ち、タンニンも重く、まだワインが硬いというのが

多く、その先にどうワインが成長していくか、その何年も先の飲み頃を想像
して飲むワインが多々あります。2010年や2009年ビンテージのキャンティ
やロッソ・ディ・モンタルチーノのテイスティングでは「今はまだ硬いけどあと
2,3年したらかなりおいしくなると思う」というようなコメントを耳にしますが
あれって何の意味があるのでしょうか。
消費者の中に酒屋で数千円で買ったワインを数年ねかして飲む人はどれ
ほどいるでしょうか。ボルドー、ブルゴーニュ、一部のイタリア高級ワインなら
わかるけど、ベースワインで数年後においしくなるワインって何かが間違って
いるような気がする!というのをこのルフィナを飲んでしみじみ感じました。
『ルフィナ』のサンジョベーゼのやさしい口当たり。アルコールがドロリとグラスの
内側に弧を描くことなく、紫のインクをなめたように唇を染めることなくスーッ
と山からの湧き水のごとく体の細胞にしみこんでいく透明感のある液体。
木苺や苔の芳香とミネラル感あふれる味わいがなんとも至福感を与えてくれ
ます。

この中には”自然派”と呼べる栽培・醸造をしているワイナリーもあれば
そうでないワイナリーもありましたが、ビオかどうかというのにはあまり触
れずに、それよりも全社が一貫して伝統的な大樽での熟成を大切に守っ
ていると言っていました。
昔のままの造りを守り、自然派の枠にもとらわれず、リリースした年が飲み頃
のワイン。難しいことを考えずに芳香に誘われスイスイと飲めるこの爽快さ。

また価格もトスカーナワインにしては安いので、普段にも十分飲めるという
のもポイント高し!さらには魚料理にもあわせられるような透明感のある味わい
で幅広く楽しめるのもいいところ。
そんな、いうことなし!の『ルフィナ』でしたが唯一欠点をあげるとすれば組合が
海外プロモーションにやる気があまりないこと。こんなに歴史があって、おいしい
ワインもマーケティングが上手なほかの地域の組合に大きく遅れをとって
日当たりが悪いところにいるのです。
でも今日の試飲会では確かにレストランなどの飲食業者やジャーナリストも新鮮な
驚きに包まれていました。「なぜかワインについて難しい味わいの想像を
したり、分析することがいつの間にか普通になっていたが、このティスティングで
そんな必要性は全くないということが証明された。」と言った人が
いてみんなの共感を得ていました。

ボルゲリ、カルミニャーノ、ヴィーノ・ノーヴィレ、キャンティ・クラシコにブルネッロ。
トスカーナのワインはいろいろありますが、その中でも一番やさしい『ルフィナ』。
1762年の記録に「トスカーナでワイン造りに最も適した土地、それはルフィナ
である。」というトスカーナの大貴族メディチ家のコジモ3世の言葉が残って
います。
流行も派閥も関係なく何百年も評価されている『ルフィナ』。
何かいいことを発見した気持ちで一人でウキウキしながらヴィッラをあとにしました。

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CONSORZIO CHIANTI RUFINA

キャンティ・ルフィナ生産組合

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2012/03/04

『BENVENUTO BRUNELLO 2012』

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ランチのあとは本来の目的である『BENVENUTO BRUNELLO
2012』試飲会へ。

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ティスティングワインはブルネッロ・ディ・モンタルチーノ生産者協会

加盟ワイナリーの下記の新ヴィンテージ。

①ロッソ・ディ・モンタルチーノ2010
②ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2007
③ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リセルバ2006
④モスカデッロ・ディ・モンタルチーノ
⑤サンタ・アンティモ

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会場は村の中心部にあるモンタルチーノ修道院。
半分以上が外国人記者というプレス向けティスティング
ルームで試飲開始。

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着席するとまずはこのようなワイナリーリストが配られます。
試飲したいワインをソムリエに告げるとボトルごとテーブルまで持っ
てきてくれます。

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このようにしてテーブルに着席したまま自由にいろいろなワインを
自分のリズムでティスティングできるようになっています。

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参加ワイナリーの数が141軒。それぞれのメーカーがブルネッロ
ブルネッロ・リセルバ、ロッソ・ディ・モンタルチーノなど数種類出して
いるので目をつけていたワイナリーのものからどんどん試飲してい
きます。半日間試飲し続けましたが、それでも時間足りず。

さて今年のブルネッロですが、ジャーナリストの友人たちやワイナ
リーの話を一言にまとめると「ブルネッロ2007年ビンテージは前年
よりも若干劣るが(2006はグレートビンテージ)それでも優良年の
素晴らしいでき」「特に2010のロッソ・ディ・モンタルチーノは歴代の
の中でも格別」というコメントで同感。
それにしてもこれほどの数の同じ規制のもとに作られた同じビンテージ
のワインを飲んでみて思うのは、造り手ごとにワインのできが「まさか!」
と唸るほど異なるということ。
全く深みのない薄っぺらいワインもあれば、酸味もタンニンもしっかり
含まれ、フルーツ味からスパイシーさに変わるグラデーションが見事なワ
インもある。ロッソでも他社のブルネッロ以上の風格があったり、リセル
バというのに骨格が貧弱であったり。。。
たしかにたくさんの優良生産者が今や大反対している生産者協会が設
定するヴィンテージチャート(ヴィンテージの良し悪しを1から5までの星
の数で評価する)が何かとても無理やりな、マーケティング的な、とっても
不自然なものに感じずにいられませんでした。ちなみに2007年ビンテー
ジは最高の5つ星。
もともと”じっぱひとからげ”が大嫌いなイタリア人。しかもこだわりの生産
者たちの評価を一同に星の数でまとめてしまうなんて確かにこれはない
よなーと納得するほど、メーカーによって激しい品質の差が。グラスを持ち
上げる度に、いい意味でも悪い意味でも「これが同じワインなのか!?」
と驚きの連続でした。

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こちらは翌日の同会場。プレスルームはなくなり3日目以降は飲食店
や酒屋などの業者向けだったのですが、これがものすごい人人人。
バーゲン会場の熱気!これは場所が悪いですねー。海外からもたくさん
のプロが来ていたのに集中して試飲できない環境が残念。
また前の記事でも書いたように今年はこのイベントに参加しなかった
大御所ワイナリーが続出。
ざっと思い出すだけでも「ビオンディ・サンティ」、「チェルバイオーナ」
「カーザノーヴァ・ディ・ネーリ」、「サリクッティ」、「ビオンディ・サンティ」
「ポッジョ・ディ・ソット」などなど。それぞれに生産者協会ともめている
ようなのですが、わざわざここまでやってきた海外からのジャーナリスト
や業者のことも考えてもこれは改善してほしいなと思いました。

それにしても、ブルネッロというワインはイタリアのほかのワインに比べ
語ることがなんとも多いワインです。イタリアワインというとどちらかというと
生産された年、もしくは数年後までが飲み頃というものが大半ですが
ブルネッロは10年、20年後まで美味しく飲めるワイン。ワインの評価
もどのようにこのワインが年月を経て成長するのか、当然のようにその
将来性を含めた見解が重要になってきます。
10年、20年後の変化を想像しながら飲むワイン。
それでもなかなかこれは難しいものがあります。
たとえば2005年のブルネッロ。誰もが最悪の年と懸念していたにもかか
わらず優良生産者のそれは、グレートビンテージのもの以上に見事な変化
を遂げているものが多いのです。ブルネッロの成長ぶりはマラソンと似て
います。まさに2005年のビンテージはやせているけれど持続性には優れ
ているマラソン選手のようなのです。ボディビルダーのようなワインは一瞬
華やかですが、すぐに息切れてしまいます。
とはいえ、やはりしっかりとしたブドウができてこそ偉大なブルネッロが
生まれるのであってそこはメーカーがどのようなブドウつくりをしているか
これが基本です。

ティスティングを終え、2007年ビンテージのブルネッロ、20年後にはどんな
変化をしているのかなーという話を同僚にしたところ「2027年の自分を想像
するのが怖い。」という返事。アラ!確かにあたってる!20年後のワインを
想像するのは楽しいけれど、20年後の自分は想像したくないよー!

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CONSORZIO DEL VINO BRUNELLO DI MONTALCINO

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノワイン生産者協会

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2012/02/22

自然派ワイン試飲会『VINI NATIRALI 2012』

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毎年恒例のローマでの自然派ワイン試飲会。
先週末に行われることになっていたのが30年ぶりの積雪で18-19日
の週末に延期。急な日程変更にもかかわらず50社のビオ/ビオディナ
ミワインの生産者が「ホテル・コロンブス」に集結。

試飲した中でいくつかよかったものをピックアップ。
まずは会場で出会ったプロたちが絶賛していたのがここ『CA'DE NOCI
カ・デ・ノーチ』。ランブルスコの産地レッジョ・エミリアの生産者。
それまではブドウをワイナリーに販売する農家だったのが、1993年に
自社ワインを初リリース。所有畑5ヘクタール。

まずは「RISERVA DEI FRATELLI 2008 」から。
シャンパーニュ法でつくった発泡酒。3年間瓶内で熟成。
ドサージュ・ゼロの辛口。
面白かったのがこのスペルゴラというめずらしい土着品種。このブドウ
皮が薄く、酸味がありアロマは少ないのが特徴。
皮つきのままマセラシオンをしているので発泡酒なのにタンニンが
しっかりありまた泡の細かさ力強さも素晴らしい。
生産量1200本。

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SOTTOBOSCO 2009
ランブルスコです。
大抵このワインのブドウは平野で
生産されていますが、この造り手のものは高い丘にある畑で栽培
されたブドウを使用。ボトル内で自然発酵。
辛口ですっきりとした飲み口。かなりエレガントでランブルスコという
ことを忘れてしまう。

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ARESCO 2008
樹齢30年のブドウからできたデザートワイン、パッシート。
ブドウはモスカート、マルバシア、スペルゴラ。
18ヶ月大樽で、12ヶ月トンノーにて熟成。
このワインは独特でした。デザートワインなのに「えーこれほど?」
というほどさっぱりすっきりしていてタンニンがしっかりある。
甘いけど辛口ワインの飲み心地、みたいな面白いワインでした。

このメーカーは他にも、スペルゴラ100%の赤ワインのようなタンニン
のしっかりした白や、3年10年越しのトンノーで熟成したカベルネ・ソー
ビニオン/マルボ・ジェンティーレなどがあり、ちょっと他社とは一線を
引いた個性的というか独特のワインだった。ただ赤はちょっと自然派
ワインによくある臭みがあり、個人的には白のほうがよかっ
たかな。

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スイスとイタリアの国境あたりソンドリオに11ヘクタールの畑
を持つ『AR.PE.PE.アル・ぺ・ぺ』。
こちらもブースの前は常に人だかりでなかなか人気があった。

SASSELLA ULTIMI RAGGI 2004
標高600mtの畑のネッビオーロから。
スフォルツァートという収獲したブドウを麦わらの上にのせ
干しブドウ状にしてから醸造するアマローネのようなこの地方の
ワインがありますがそれとは違い、遅摘みのブドウから造られたもの。
11月末まで収獲を待ち、木にブドウをつけたまま糖を凝縮させる。
香りといい味わいといい口いっぱいに広がる木苺やチェリーが
すごい迫力。金魚鉢みたいな大きなグラスでその変化を楽しみた
いワイン。

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最北のソンドリオからサルデニア島へ。
この島を代表するワイナリー『TENUTA DETTORI デットーリ』。
ブースには見たこともないラベルのワインが!
こちらはカンノナウ品種100%DETTORI」が2006ヴィンテージがよく
なかったために名前をかえてリリースしたもの。ただし醸造は同じ。
これは面白いですね。あまりよいヴィンテージでなくとも気にせず
販売するワイナリーが大半で、逆にかなりの高級ワインに
なるとそのヴィンテージのワインは生産しないというのもあります。
DETTORI」の品質を下げないためにも名前を変えて違うワイン
として出すという珍しいケース。
かえってこれでワイナリーの信用度を上げたのではないでしょうか。
しかしこの「RENOSU 2006」ダウングレードといってもバランス

よくこのワイナリーの実力を感じました。

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自然派ワインの大御所『LA BIANCARAラ・ビアンカーラ』のアンジョリーノ

マウレ氏。今回は息子さんも連れて参加。11月に日本でワインセミナー

を行ったという話をいろいろ。和食が大好きでイタリアの自宅に帰った

ときにいつもの自分の料理をもうおいしく感じなくなったほど、という

エピソードや日本人の礼儀正しさ、遠慮深さなど、日本大好き!という話

を試飲しているイタリア人業者にまで熱く語っていました。自然派ワイナリー

の中でも先頭に立って活動している人で、新しい作り手が多い中、老舗の風格。

MASIERI 2011 」「SASSAIA 2007」「TAIBANE 2008」を試飲。

本日の試飲の最後は銘酒中の銘酒ガルガーネガ100%の「 RECIOTO」。

この他、フリウリ州はスロヴェニアとの国境に位置する『ZIDARICHIジダリッチ』

のソーヴィニオン、ヴィトスカ、マルバシアを混醸した「PRULKE 2009」も

素晴らしかった。このワイナリーのワインを飲むとすっかりヴィトスカファンに

なります。

この試飲会でいろいろな業者と話していて感じたのは、イタリアでも自然派

ワインだからおいしいorまずいという偏見はもう薄れ、カテゴリーの枠に

とらわれない造り手、飲み手も増えているということ。
自然派ワインはもう日本市場でも根付いていますが、実は2001年の地点
では自然派ワインの輸入量は80%がフランス産でした。
それが昨年のデータでは80%がイタリア産。10年後に逆転したというわけ
です。全体のワイン総輸入量としてはフランスワインが昔から未だ群を抜い
てトップですが、なんと自然派ワインではイタリアが活躍していたのですね。

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VINI NATURALI  ROMA

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2012/01/25

『PORTHOS ポルトス』ワインセミナー

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1回のレッスンがみっちり4時間からなる「ポルトス」のワインセミナー

を4レッスン受けてきた。参加者は12人。「ポルトス」とは泣く子も

黙るサンドロ・サンジョルジ氏率いるワイン道場。本人もはっきり明言

するように、AISイタリアソムリエ協会やガンベロロッソ、パーカー

のワイン評価からはかけ離れた自然派ワイン哲学に基づいた人。AISや

ガンベロに比べると、まったくワインを分析する観点は異なり、よくも悪

くもかなり左よりでインテリで少数派なのがこのポルトス。

もう設立されたから何年にもなりますが、オタクな組織にもかかわらず

サンドロ氏の思想を慕って通い続ける人も。

イタリアにもいろいろなワイン団体があり、これが一番いいというのは

ないですが、いろいろなワインの哲学を知るために、また久しぶりにポルトス

ならではの濃い内容のワインの勉強をしたかったので思い切って受講してみま

した。この年になってもまだ高いお金を払ってでも勉強したいことがあるとい

うのはまあうれしいことです。そんな自分の中にある貴重なモチベーションの

ようなものを保ちたかったというのもあるかもしれません。

しかし。

いやー難しかったー。

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セミナーのテーマは「ワインの表現の仕方」。

毎回8種類のワインをブラインドテイスティングし、その全ワインにあてはまる

言葉を4つずつ用意された単語リストから選ぶ、というものや、ワインを説明した

文章がありそれを読み、全ワインがどれにあたるのかあてはめるというもの、また

各ワインに0から10までの点数をつけ、なぜその点数をつけるのか説明するというもの。

正解かどうかよりも、どう表現するか。ワインはすべて自然派ワインでイタリア

フランス産がミックスされています。コルシカ島のヴェルメンティーノやスイスのワイン

も出てきました。

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すべてブラインドテイスティングなので自分の五感だけに頼るのですが、たとえば

ワインの色がもうオレンジがかったガーネット色だとすると、それはもうオールド

ヴィンテージだと認識してしまったり、香りがなかなか立たないワインを質の乏しい

ワインと判断したり、やわらかい丸みを帯びた甘みのあるワインを高評価したり

自動的に今までの経験から判断してしまうのですが、これが見事に外れる場合が多々

ありました。

色がこうだからこのタイプ、香りがこうだからこちらのタイプ、味がこうだからこの

地域といったように数学の式みたいにカテゴリー分けできるほどワインの世界は狭く

単純ではないということを体感。しかも自然派ワインだとよけいそうです。

ヴァレンティーニなんか同じワインでも1年のヴィンテージ違いでまったく別の地域

のワインと判断してしまうほど。

ヴァレンティーニがそうであると知識として頭では知っていましたが、今回のブライ

ンドテイスティングで、こういうことかーと体感しました。 

自分の中に持つワインに対する評価の基準がかなりゆらぎました。

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4回のセミナーを受けて思い知らされたのは、どれほど自分の中にワインに対して

先入観があったかということ。ブラインドテイスティングでこうなのだから、ましてや

普段はワインのラベルを見た地点で、ワインの名前やヴィンテージを知った地点で無意識

のうちに飲む前にもう先に頭で飲んでしまっているんですね。ワインを飲みすぎて逆に

ワインを裸にして飲むことが難しくなっていた自分がありました。

 

うーんますます面白いなー。ワインって。


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PORTHOS ポルトス

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2011/11/30

ランゲ自然派ワイン試飲会 『VIGNAIOLI DI LANGA』

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少し前にローマはバチカン市国近くのHOTEL COLUMBUSにて
2日間にわたり行われた、ピエモンテはランゲ地方で造られる
ワインの試飲会。
バローロやバルバレスコの自然派ワイナリーばかり30社が参加。
ランゲ地方は個人的にももっとも好きなワインの産地でランゲと
聞くだけで血が騒ぎます。
自然派またはそういった枠にとらわれていないものも含め、ネッビ
オーロから造られたワインには目がないのですが特に大樽だけで
仕込んだ伝統的なバローロ、バルバレスコはもう何にも比べ
がたいものがあります。

まずは自然派バローロの巨匠『GIUSEPPE RINARDI ジュゼッペ・リナルディ』。
90年代の初めにはもう今で言う”自然派”のワイン造りを一人でコツ
コツ行っていたジュゼッペ氏。フィルターにもかけずネッビオーロの
生命力をどこまでも追求したようなワイン造り。
映画『モンドヴィーノ』の監督ジョナサンもべた褒めしてたっけ。
どんな褒め言葉もこのワイナリーを語るには薄っぺらくなってしまう
素晴らしいバローロの生産者ですが、なんとバローロを試飲会には
もってきていないとのことでがっかり。

-BARBERA 2010
このワイナリーに共通するかちっとした酸味がしっかりあってバルベラ
というよりもネッビオーロのよう。このヴィンテージを飲むにはまだ
早い感じ。
-LANGHE NEBBIOLO 2009
もうこれがすでに他ワイナリーのバローロに匹敵する貫禄。バローロ
には使用しなかった一段ランクの低めのネッビオーロを使っている
がそれでもブドウの凝縮感があり素晴らしい品質。タンニンはまだ固
めでも味わいは1ミリも狂いのないバランス感。エレガントな酸味があって
この先の成長を思わせる。10年後に飲んでみたい。

昔ながらの粋なラベルがそのままで、これまたこのワイナリーの好きな
ところ。字体とか色まで昔の人はセンスがよかったんですね。

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栽培面積4ヘクタールという小さな小さなワイナリー『CAPPELLANO』。
1870年からある老舗でここも好きなワイナリーですが、ドルチェット
しかないとのこと。
バローロはもう前日に飲まれてしまったと言われ、またまたがっかり
していたらテーブルの下から残してあったバローロ2006をこっそり
出してくれました。
香りの開きが遅くまだ飲みごろには早いですが、この2006がグレート
ヴィンテージであることをわからせてくれる美しい酸と複雑味があって
バローロの風格を感じさせます。

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バローロ村に50ヘクタールの畑を持つ『G.D. VAJRA ヴァイラ』。
「BRICCO DELLE VIOLE」と「ALBE」の畑違いの2種類ある
バローロのうち1種類のみを試飲。
- BAROLO ALBE 2007
畑の土をふかふかに保つためにトラクターは一切入れず
1から10まですべて人の手で手入れ、収穫されるという
いかにも自然派らしいブドウ造りの説明が延々と。
で、飲んでみるとその話になるほどーとうなずく原材料のよさ。
こちらのバローロはバラバラに違う位置に存在するいくつかの
畑のネッビオーロをブレンドしているので、それぞれの特徴が
素晴らしい複雑味をかもしだしています。
他ワイナリーに比べ、華やかで柔らか味のあるとっても女性的
なバローロ。2007のわりにすでに飲みやすかった。

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こちらは4ヘクタールの畑を持つわりと無名のワイナリー
『LUIGI BAUDANA ルイジ・バウダーナ』。
パーカーポイントで高得点をとっているのがわかる、
バニラ香あり、華やかなブーケありのバローロ。
畑違いで2種類を試飲。
-BAROLO BANDANA 2007
-BAROLO CERRETTA 2007

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美しいラベルデザインで覚えている人も多い、ディアーノ・ディ・
アルバ村の『CLAUDIO ALARIO クラウディオ・アラリオ』。
1988年からワイン造りを行う10ヘクタールのワイナリー。
この地方にはあまりにも老舗が多いので、88年といっても
新しいワイナリーに入る。50年、60年の寿命を持つ畑が
あり、畑違いで数種類のドルチェット、バルベーラ、バローロ
を生産。所有畑が小さいのに製品数は多いのでなんとも細か
いワイン造りをしているのだなーと感心。平均的に販売するの
もなかなか難しそう。。。

-NEBBIOLO D'ALBA 2009
1年越しのバリックで20ヶ月熟成。わりとモダンタイプだけれど
飲みごろで悪くなかった。
- BAROLO RIVA 2006
3年を樽で、2年瓶内で熟成。生産数4000本。
- BAROLO SORANO 2006
バリックで2年、大樽で1年、瓶内で2年熟成。こちらも4000本。
こちらのほうが価格も高い。

この試飲会の中でなかなか珍しくモダンタイプのワインを造って
いたワイナリー。大樽造りのワインが多いこの試飲会の中でこの
生産者の全種を飲むのは結構疲れました。

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こちらはバローロマニアの中で特に熱狂的ファンの多い『GIU
SEPPE MASCARELLO E FIGLIO
 ジュゼッペ・マスカレッロ』。

モンキアーロ村の老舗ワイナリー。ここも6-7つの畑をバラバラ

で所有しているので製品数が多い。バローロだけでもリセルバ

を入れれば4種類。クラシックなワイン造りが特徴で、バローロ

の醸造として法的に定められている樽熟成期間は2年だけれども

それを1年多くつまり3年以上の熟成をしています。

-BAROLO VILLERO 2006
ものすごくミネラル感のあるバローロ。
-BAROLO MONPRIVATO 2006
こちらは得によい畑のバローロ。36ヶ月大樽で熟成。
パーカー97点。
ちなみにローマの酒屋では80ユーロほど。
間違いなくグレートビンテージの風格。

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この日30社の中で一番素晴らしかったワイナリーはココ!
古典派ワイナリーを代表するカスティリオーネ・ファレット村の
CAVALOTTO カヴァロット』。
バローロ生産者の中でも最高の条件を備えるといわれる場所
BRICCO BOSICHISに畑を所有。1975年にはすでに今の
自然派の原型となるブドウ栽培から醸造を行い、現在5代目
にあたる3兄弟が引き継ぐ家族経営の歴史あるワイナリー。

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長男でエノロゴ、農学者でもあるアルフィオ氏。

-BARBERA 2007
30ヶ月近く大樽で熟成。品格のあるバルベーラ。

-LANGHE NEBBIOLO 2009
2009は18ヶ月大樽で熟成。激的なおいしさ。
もうこれはバローロですね。毎日飲みたいワイン。

-BAROLO BRICCO BOSCHIS 2007
3つの畑のネッビオーロをブレンド。
3大樽で熟成。
ものすごくやさしい味わいですでに飲み頃といえる。

-BAROLO VIGNOLO RISERVA 2005
なぜか上記の2007年ヴィンテージより若い感じのリセルバ。
VIGNOLOという畑だけで造られるネッビオーロのバローロ。

-BAROLO BAROLO BRICCO BOSCHIS SAN GIUSEPPE 2005
50年の寿命を持つSAN GIUSEPPEの畑のブドウだけで造った
バローロ。
これ、飲んだ時に鳥肌がたちました。
鼻腔から口、食道を通ってブルッと震えがきました。
今まで長年、そして今日、RINALDIからMASCARELLOまで最高峰
のバローロを飲んできたのに、それが薄れてしまうほどの衝撃。
土壌、日当たり、気温、湿度、風通し、標高、樹齢、醸造、すべて
の最高が揃うということはこういうことなのかと体感。
最後の1滴まで、空になったグラスまで感動が。
こういうワインは2,3年に1度。
このワイナリー近いうちに必ず訪問したい!

30社のワインをほとんど飲みましたが、よかったのは地域性もある
のか”自然派”という枠にとらわれていないワイナリーが多かったこと。
今までたくさんの自然派ワイナリーに出会いましたが、肩肘張った
作り手が多かったり、また二口以上は飲めない。。。みたいな濁った
酸化臭のするようなワインがあったり、とネガティブな”自然派”経験
もあったのですが、今回のイヴェントでは1軒もそういうところはなく
自然派を前面に出すことなく、品質、味わいだけで勝負するような余裕
のあるワイナリーばかりでした。これは主催者のTIZIANAティッツィアーナ
さんのセレクトのよさもあります。

またこの地方のワイン造りで面白いのは、たとえばバローロという同じ
1つのワインでも畑ごとに製品をわけるところ。これはランゲ地方の特長
で数種類のバローロやバルバレスコを生産しているワイナリーも珍しくあ
りません。そして必ずワインに畑の名前がついています。これはこの土地の
ワイナリーが全部1つにまとまった畑ではなく、バラバラに散らばった
畑を所有しているから。畑ごとに製品分けしているブルネロやキャンティ
というのはほとんど皆無なので、バローロのようにこうして畑ごとに飲み
比べができるのはこの地方のワインの醍醐味。やっぱりランゲってワイン

好きにはたまりません。

あまりの『CAVALOTTO』の衝撃で魂を抜かれたようにフラフラと帰宅。








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2011/05/21

ジャコモ・タキスワイン24種のティスティング

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長い拍手の末式典が終わり、タキス親子が再び車椅子で会場
をあとに。そしてタキス氏が手がけたワインのセミナーが開始。
イタリアソムリエ協会ローマの6人の教授により24種類のワイン
の試飲が行われました。

1. GUIDABERTO 2008 - TENUTA SAN GIODO
2. SAFFREDI 2007 - FATTORIA LE PUPILLE
3. SAMMARCO 2006 - CASTELLO DEI RAMOPOLLA
4. SOLENGO 2003 - ARGIANO
5. CEUSO 2007- CEUSO
6. TANCREDI 2007 - DONNAFUGATA
7. CONTESSA ENTELLINA MILLE E UNA NOTTE 2006
DONNAFUGATA
8. LITRA 2000 - ABBAZIA SANTA ANASTASIA
9. BAROLO 2004 - PIO CESARE
10. CARIGNANO DEL SULCIS SUPERIORE TERRE BRUNE
RISERVA 2001 - CANTINA SANTADI
11. DUCA ENRICO 1997 - DUCA DI SALAPARUTA
12. CHIANTI CLASSICO  RISERVA 1995 - CASTEL'IN VILLA
13. TIGNANELLO 2006 - ANTINORI
14. BARRUA 2003 - AGRIPUNICA
15. PELAGO 2000 - UMANI RONCHI
16. CAMARTINA 1999 - QUERCIABELLA
17. D'ALCEO 2006 - CASTELLO DEI RAMPOLLA
18. IL POLLENZA 2004 - IL POLLENZA
19. CAMPORA 2003 - FALCHINI
20. SAN LEONARDO 1999 - TENUTA SAN LEONARDO
21. SASSICAIA 207 - TENUTA SAN GUIDO
22. SOLAIA 2004 - ANTINORI
23. BARBARESCO 1998 - GAJA
24. TURRIGA 1997 - ARGIOLAS

ガヤのみがタキス氏とは関係のないワインでしたが、これはアンジェロ
ガヤ氏がタキス氏の親しい友人であるということでリストに入っていました。
上記24のワインは全て以前に飲んだことはありましたが、このように
全部同時に飲み比べをしたことは初めてで、かなり面白い発見があり
ました。ほとんどのワインにカベルネ・ソービニオン品種が入っているの
ですが、土地ごとにこのブドウ品種の表情が異なり、カベルネの七変化
を見ているようでした。特によかったのはトスカーナの「CASTELLO DEI
RAMPOLLA」。このメーカーから2種類のワインが出たのですが、どちら
も香りの深みがどのワイナリーよりもすごい。どこまで嗅いでも永遠に
奥行きがあり、何重にも層になっている芳香が目に見えるよう。
土壌の特徴がそのままワインのすみずみまで表現されて、ブドウの質の
高さがうかがえました。
同じくキャンティ・クラシコ地区の「CASTEL'IN VILLA」のCHIANTI CLASS
ICO RISERVA 1995 もこの中では郡を抜いたエレガントさで印象に残た1本。
またサンジョヴェーゼのみということもあり、24種類のワインの中で一番
誰とも似ないワインでもありました。
上記の2つに比べると同じトスカーナでもソライアとサシカイアの影が薄か
った! もっとも個性的だったのがシチリアはDONNAFUGATAの「MILLE
E UNA NOTTE 2006」。日本語に訳すと”千と一夜”という名のワイン。
90%がシチリア独特のネーロ・ダ・アーボラ品種、10%が他の赤ブドウ
品種。これ、なんというエキゾチックさでしょうか。香りといい味わいといい
オリエンタルな魅力がまたシチリア的で、これも他のワインとくっきりと一線を
画しておりました。今まで厳かなクラシックバレエばかり観ていたところに急
にアラブのベリーダンサーが登場したような衝撃!
同ワイナリーのタンクレディも高い評価ですが、妖艶さでは圧倒的にこちら
が勝っておりました。

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3時半から式典が始まり、ティスティングセミナーが終わったのが夜22時。
イヴェントはトータル7時間近く続き、結構疲れました。
私の隣の席があの「SAN LEONARDO」のカルロ公爵と「CASTEL'IN VILLA」
のピニャンテッリ伯爵夫人だったのですが、同僚のワイナリー経営者達が
式典が終わったあとセミナーには参加せず、ほとんど帰ってしまったにも
かかわらず、この2人だけは最後まで全てのワインを真剣に試飲していました。

会場のホテルを出でると、外はすっかり夜。
ひんやりした空気が気持ちよく、タキスのワインを通してイタリア全土を旅した
ような気分になって帰宅しました。

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2011/05/18

UN UOMO IRRIPETIBILE - GIACOMO TACHIS             無類の人 - ジャコモ・タキス

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5月14日土曜日、ローマのイタリアソムリエ協会AISにてイタリア
統一150年を記念し、ジャコモ・タキス氏の賞賛式典と彼の手により
生まれた23種類のワインの大ティスティングが「ROME CAVALIERI
HILTON HOTEL」で行われました。
4月にはイギリスワイン誌「DECANTER」により”Man Of The Year 2011”
に選ばれたタキス氏。77歳の高齢と持病のため、ほとんど公には顔を
出さない彼がトスカーナからローマのこの式典に出席するということで
かなりの前噂になっていました。

式典前日夜はタキス氏とともにローマ入りした娘のイラリアと宿泊先の

ホテルで2人で夕食。その時彼女は「本当に明日父が舞台に立っていら
れるかどうか、元気で活発なころの父しか知らない人たちが今の父を見て
どう思うか、それを思うと本当に明日出席するべきかまだ迷っている。」
ととても動揺していました。
翌日、イラリアの心配を胸にかかえ本当にタキス氏が出席できるのかどうか
不安に思いながら会場に到着、そしてその心配に輪をかけるように式典の
規模の大きさに驚きました。
会場の大ホールには500人の参加者に、ティスティングのワイン
をサービスするAISのソムリエが50人以上。国営放送のTVカメラに

新聞社のカメラマンたち。

正面には表彰舞台と、後部にいる人にもわかりやすいように大画面が。

ホール裏には500人分のすごい本数のワインが。しかも全てイタリア最高級

ワインばかりがすらりと並べられ出番を待っていました。

そして式典の始まりの時間を少し過ぎたころ。後部の方からウヮーっという歓声
とともに拍手が。タキス氏が娘とともに車椅子で会場へ入場してきたのでした。
舞台前の彼の席に到着する間もなく、彼の昔の同僚やワイナリーのオーナー
達がわれ先にと彼を取り囲み、抱きついて再会を喜び、中には涙する人も。
式典が始まる前から想像以上の感動のシーンが。
そして娘のイラリアが驚くほど、この日のタキス氏は終始笑顔でエネルギーに満ち
溢れていました。

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写真左上からサルデニア「SANTADI」のオーナーアントネッロ・ピッロ
ーニ氏と。右上トスカーナ「CASTELL'IN VILLA」の経営者ピニャンテッリ
伯爵夫人。左下はトレンティーノから「SAN LEONARDO」のカルロ・
グエリエーリ・ゴンザーガ公爵。

今回の式典にはジャコモタキスが携わったワインが23種類紹介され
その全てのワイナリーから経営者が全国から集まりました。
彼らはタキス氏の80年代、90年代からの同僚であり古い友人です。
それぞれにきれいに調えられた白髪がその長い交友を語っていました。
このイタリアを代表する最高峰ワイナリーの経営者たちはほとんど貴族
であったり、大富豪の部類に入る人たちで、VINITALYにももう顔を出さ
ないような高齢でもあるのですが、その彼らがタキス氏との再会を子供
のようにはしゃいで喜んでいる光景は、見ている者にとっても感慨深いも
のがありました。
そしてみんなが挨拶をしているあいだ、隅の方に身を引き、最後にタキス
氏のもとにゆっくり歩み寄った人がアンジェロ・ガヤ氏。
この人が脇役になるのは、タキス氏以外にはないでしょう。
ガヤ氏はタキス氏にお辞儀をし、握手をして何か話しかけていましたが
その紳士的で敬意を込めた挨拶が印象的でした。

そして式典開始。真っ暗の舞台にスポットがあたりイタリアの大御所ポップ
歌手アルバーノ・カリーズィがイタリア国歌を歌いながら登場。
それにあわせて会場にいた全員が起立し、胸に手をあてて歌っていました。
(イタリア人は国歌を歌いながら必ず感動する)

AIS会長の挨拶の後、イタリアワイン界の錚々たるメンバーがタキス氏へ
の賛辞を述べました。

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まずはタキス氏が1961年から30年間エノロゴを勤めたトスカーナ
「ANTINORI」の代表取締役ピエーロ・アンティノーリ氏。「あなたのお
かげで私達は世界でこんなに有名になることができた。そしてこんな
に長い間私の親友でいてくれてありがとう。」アンティノーリというイタリア
ワインの代名詞のようなワイナリーのボスがタキス氏に心をこめて
お礼を述べていました。

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昨年の世界ソムリエチャンピオンに輝いたイタリア人ソムリエ
ルカ・ガルディーニ氏からの賛辞。

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サッシカイアで知られる「TENUTA SAN GUIDO テヌータ・サン・グイド」

の現女性エノロゴ。この人は涙声でなかなか話せないほど感激して

いました。

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カルロ・カンビ出版の社長であり、有名ジャーナリストのカルロ
・カンビ氏。過去に新聞などにタキス氏の多くのインタビュー記事を
掲載した人。

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アンジェロ・ガヤ。イタリアワイン界でサインを求められる人といえば
タキス氏とこの人でしょうか。
この日のテイスティングでは唯一タキス氏が携わっていないワインで
イタリアワインの歴史に残る1本としてバルバレスコがリストに加わ
っていました。ガヤではタキス氏がエノロゴとして仕事をしたことはない
のですが長年の友人、後輩として賛辞の言葉がありました。

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泣く子も黙る元ガンベロロッソ編集長、この春からAISの教授郡
に加わったダニエレ・チェルニッリ氏。
タキス氏との出会いは1974年のことだそう。
”イタリアワインのガリバルディ(イタリアを統一した軍事家)。彼が
いなければイタリアの国ができなかったようにタキスがいなければ
今のイタリアワインがなかった”と絶賛。

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録画で賛辞を述べたTV番組の司会者ブルーノ・べスパ氏。
このあたりはAISローマの資金力が見えて笑えました。

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ボルゲリの銘酒サッシカイアのワイナリー「TENUTA SAN GUIDO
テヌータ・サン・グイド」のセバスチアンローザ氏。

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キャンティクラッシコ「CASTELLO DEI RAMPOLLA カステッロ・
ディ・ランポッラ」のルカ氏。この人は以前にもお会いしましたが
いつ見てもヨガの師匠みたいなストイックな風情。
数年前からビオディナミのワイン作りを開始。
タキス氏への言葉も哲学的でスピリチュアルな内容でした。

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トスカーナはマレンマの「FATTORIA LE PUPILLE ファットリア・
レ・プピッレ」の女性オーナーエリザベッタ氏。

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シチリアワイナリー「CEUSO チェウソ」の経営者ヴィンチェンツォ氏。
シチリアはタキス氏にとって最愛の地。何冊もシチリアとシチリア
ワインへの情熱をつづった本を書いています。

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サルデニア「SANTADI サンターディ」のアントネッロ・ピッロ
ーニ氏。この人もタキス氏の同僚であり親友。「タキス氏のおかげで
世界の人々にサルデニアでも素晴らしいワインができるということを

証明することができた」と熱く語った。

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キャンティクラシコ「CASTELL'IN VILLA カステッリ・イン・ヴィッラ」
の女性オーナーピニャンテッリ伯爵夫人。
写真右奥の白髪の人がタキス氏。最前列の真ん中に座りみんなの言葉
をうなずきながら受け止めるのが後方から見えていました。

一度以前にボルドーワインの試飲会に一人で行ったとき、たまたま隣
の席に座っていて仲良くなった女性がこのピニャンテッリ夫人。
彼女も1人で来ていたのですが試飲しながらきれいなペンで一生懸命
メモを取っていました。カステッリ・イン・ヴィッラのキャンティクラシコを
飲んだとき、その比類なエレガントさに感動したのですが、実はこの人
がそのワインの造り手と知った時、彼女の話し方や人柄がそのまま
ワインの味わいに出ていると心のなかで確認したのを覚えています。

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マルケの「UMANI RONCHI ウマニ・ロンキ」オーナーマッシモ・ベルネッティ。
このワイナリーのワイン「Pelagoぺラゴ」は1997年にロンドンの
"ワインチャレンジャー”コンクールで世界の6000本のワインの
トップに。これはマルケという無名の地から無名のワイナリーが世界
に知られるきっかけとなったという、ワイン界の人なら誰でもいまだ
に記憶にあるセンセーショナルな出来事。
それを昨日のできごとのように話し、タキス氏の素晴らしい仕事に
よるものだったと賛辞を述べました。

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シチリアの老舗ワイナリー「DONNA FUGATA ドンナフガータ」

のアントニオ・ラッロ氏。

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マルケの「IL POLLENZA イル・ポッレンツァ」。
タキス氏と同年代の経営者。

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トスカーナはサン・ジャミニアーノの「FALCHINIファルキーニ」。
経営者の息子マイケル氏。彼の父とタキス氏が長年ともに仕事
していたのを子供のころから見ていたそう。
その頃のエピソードを話しながら男泣き。

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トレンティーノの「SAN LEONARDO サンレオナルド」からカルロ
グエリエーリ・ゴンザーガ公爵。190センチはあるかと思われる
長身に、きれいに櫛の通った白髪。颯爽と歩く姿には誰もが見
とれていました。
このワイナリーは広大な土地を所有し、何度も世界中のワイン雑誌の
ページを飾った素晴らしいお城もあります。

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サルデニアの「ARGIOLAS アルジオラス」。今回ローマに来られな
かった家族から託されたタキス氏へのメッセージを持って、父の
代わりにと賛辞を述べた次世代の若い女性オーナー。
タキス氏が一目ぼれしたというサルデニアのこのメーカーから
TURRIGA トゥリーガーという銘酒が生まれました。

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そして会場が一旦暗くなったあと、タキス氏と娘のイラリアが壇上に。

タキス氏の代わりとなってイタリアがお礼の言葉を述べました。彼女の

コメントが終わるやいなや全員が起立。本当に長い長い拍手が続きました。

式典はここで終わったのですが、正直稀に見る感動的な祝典でした。

イタリアにはいろいろ異なるワインの宗派のようなものがあり、自然派

ワインの団体などは、いわゆるスーパータスカンに代表されるタキス氏の

ボルドースタイルのワイン造りを評価しない、もっと言えば批判する人達も

少なくはありません。でも今回の式典を見た者として、この人はやはり

ただのエノロゴではないということ、天才的な学者だったということ、時代を

先取りする勘が人一倍鋭かったこと、人がやらないようなことを勇気を持っ

てできる開拓者としての心意気があったこと、目に見える功績を残しても

裏舞台の学者であり続けたこと、そしてこれほどの人望を集める心の熱い

人であるということを本当に実感しました。

この式典でタキス氏に賛辞を述べたワイナリーは今でこそ世界に名の

知れるイタリアでトップクラスのワイナリーばかりですが、実はタキス氏

が手がけるまではほとんどが、質のよいワインができない、経営困難

ブドウが病気にかかっているなど問題をかかえていたさえない無名ワイナリー

ばかりでした。20人以上の経営者が壇上に立ちましたが、全員のエピソ

ードに共通していたのが、タキス氏はワイン造りの魔法使いというイメージ

があるが、実は醸造は2の次3の次で、ブドウ栽培においていかに自然で

高品質な原材料を生産するかということを厳しく教えられたということ、経営

や面でも問題にぶちあたった時にいつも勇気をくれた人であったこと

ワインの大先生だけでなく人生においての恩師でもあり、友情を何よりも

大切にする人であるということ。今回の式典でのワイナリーやジャーナリストなど

イタリアワイン界トップの人たちの言葉は決して表面的なものではなく、よく

ありがちな自社宣伝のためのパフォーマンスでもありませんでした。

タキス氏へのこの日の賛辞は、一緒に苦労を乗り越えイタリアワインの基盤

を作り上げ、栄光をつかんだ人たちの1つの大切なくぎりであり、イタリア

ワインの歴史の一幕でした。ワイン業界で何かへの批判は多くありますが

これほどまでにみんなが1人の醸造家を賞賛したことは稀で、このようなこと

はタキス氏の他にはあとにも先にもいないと思いました。そしてこのような

賛美はどの業界でも当人が亡くなってから行われることが多々ありますが

本人の出席のもとに行われたことも本当によかったと心の中で思いました。

あとからイラリアから聞いた話では、タキス氏は古い友人達の壇上から

感謝の言葉を聞きながら、ずっと泣いていたそうです。

いつか自分が年老いて、そのときイタリアにいるか日本にいるかわかりませ

んが、イタリアという国、文化、人のことを想うとき、きっとこの日のことを思い

出すだろうと思います。

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