生産者訪問 - VISTIA DI PRODUTTORE

2016/05/09

究極のモッツアレラ・ディ・ブーファラ『TENUTA VANNULO テヌータ・ヴァンヌーロ』

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みなさまこんにちは。
長らくお休みしておりました。
一時期あまりに仕事がハードになり、ブログ作成にPCに向かえず
掲載したいことが山積みになったまま、あっという間に日が経って
しまいました。
その間にも2009年から続けているこのブログへの愛着と、いろいろ
な意味で自分の中で大切な記録であることから、早くまた再開したい
とずっと思っていました。
約1年もお休みしていましたが、その間にもここに訪問くださったみなさん
本当にありがとうございました。
またこれからも懲りずにこのブログにどうぞお越しくださいませ。

新着記事は、水牛のモッツァレラ工場の話題。
ローマから車でナポリ、サレルノを超え、南に下ること3時間。
農業とモッツァレラ工場以外何もないという感じのこの殺風景な地域に
突然現われるのが『テヌータ・ヴァンヌーロ』。
同地区に多数あるモッツァレラ・ディ・ブーファラの生産工場とは全く
一線を画す工場なのです。

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ここで飼われている600頭の水牛のための餌(麦やとうもろこし)は
全て自社で有機栽培されています。
よりおいしい牛乳を生産するため、農薬、添加物一切なしのBIO食材
だけを食べさせているというわけ。さらには病気になった牛は漢方で
治療、薬はやりません。

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家畜上の真ん中にはなにやら回転している黄色い物体が。
これは水牛のためのシャワー。ここから常時水が出ていて、黄色い
ブラシがくるくるまわっています。牛たちはここで自分の体をブラシに気持ち
よさそうにすりよせていました。
固いコンリートの上ではなく、ゴム製のマットの上で寝させている
のも、牛にストレスを与えないため。
毎日の清掃も徹底して行なわれているために、家畜工場の鼻をつくような
匂いもありません。

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ミルクを搾るシステムは北欧製の最新のマシーンが導入されています。
”気が向いたとき”だけ、乳搾り室に入っていく牛さんたち。
一般的な工場のように、強制は一切されず、1日中ミルクを搾らない牛も
います。搾ってから3時間以内にまたこの部屋に入ろうとするとする牛も
いますが、バーが自動的に下り乳搾り室に入れなくしています。
牛につけられているチップを通し、ミルクを搾った時間が工場のコンピュータ
に報告、1頭1頭コントロールされているのです。

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年老いてミルクが出なくなった牛もそのままここで生き延び、最後には
この心地よい棲家でひっそりと死んでいきます。
決して精肉にすることはないそう。

同工場内には牛皮製バッグの工房も。
ここで職人がコツコツと一点ものの鞄を作っています。牛革はトスカーナ
から仕入れているもので、ここの水牛の皮ではありません。
牛革の自然の色をのこしたシブいバックがたくさんありました。

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これだけすごい水牛工場を見て、味見しないわけにはいきません。
『テヌータ・ヴァンヌーロ』の中には、ここのモッツァレラが食べられる
お洒落なレストランそしてカフェがあります。

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水牛のミルクでつくった、ジェラートやヨーグルトが味わえるカフェへ。

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プレーンヨーグルトとブリオッシュを注文。
ストレスフリーの水牛のミルクの味は、フレッシュでなんとも濃厚。
コクが違う!
あそこまでする価値がこのヨーグルトを食べて納得。

ちなみに『テヌータ・ヴァンヌーロ』の製品はこの工場内のみの限定販売。
小売店やレストランへの卸しは一切ないのです。

閑散としたこの地方にいきなり高級ホテルのような外観の『テヌータ・ヴァンヌーロ』。
北欧の最新機器を導入した工場、レストラン&カフェ、農業工具博物館、すごいもの
を建てたもんです。
どこよりも美味しいモッツアレラチーズを作るというオーナーの信念ですね。

笑ってる?というようなやさしい目つきの水牛が印象的でした。

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TENUTA VANNULO テヌータ・ヴァンヌーロ

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2014/04/02

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノワイナリー『PIETOROSO ピエトローゾ』

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先週のオバマ大統領のローマ訪問で、飲食業界の話題となったのが
晩餐会で大統領が舌鼓をうったというワイン。その銘酒は、このブログ
でもご紹介した『LE POTAZZINE レ・ポタッツィーネ』のブルネッロ・ディ
・モンタルチーノ2006。モンタルチーノでもアメリカ資本の大手有名メーカー
『バンフィ』でなく、地元でも最小規模の造り手『レ・ポタッツィーネ』だったと
いうところに、この晩餐会の主人である在イタリア米大使に心の中で
拍手。

バローロやバルバレスコと並んで、イタリア3大高級と称されるのがトスカーナ
のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。ブドウはサンジョヴェーゼーグロッソ100%。
このワインを生産する地域の面積は、キャンティの4分の1の小ささ。その中に
250社のワイナリーが点在します。地元で最小規模のワイナリーが『レ・ポ
タッツィーネ』。そしてもうひとつ、同じくらいの小さなワイナリー『ピエトローゾ』
があります。

800ヘクタールもの土地を所有しワイナリー内で夢のようなお城とホテル、レスト
ランを経営する『バンフィ』や、ワイナリー内にゴルフリゾートを運営するフェラガモ
家の『カスティリオーネ・ボルゴ』、世界にブルネッロが高級長熟ワインであること
を国際的に知られるきっかけとなった『ビオンディ・サンティ』など、豪華ワインメーカー
が立ち並ぶ中で、フィレンツェの裏路地にある皮職人の工房のような狭苦しい
ワイナリーが『ピエトローゾ』。
1970年代から祖父がワイン造りをしていた場所を引き継いで、昔ながらのワイン
造りをしているのが現オーナーのジャンニさん。奥さんのチェチリアさんと兄弟
に見える息子のアンドレアと家族ぐるみでコツコツとワインを造っています。

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『ピエトローゾ』の”ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ”は通常のブルネッロよりも1年長く
樽だけで合計36ヶ月の熟成をしています。つまり、他社のリセルヴァにあたります。
一方”ロッソ・ディ・モンタルチーノ”は、中樽と大樽で12ヶ月の熟成。十分ブルネッロ
と肩を並べる風格あり、お手軽価格なのに決してセカンドラベル的なワインでない
ところにまたこのワイナリーの素晴らしさを感じるのです。

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そんなトスカーナの昔ながらの極上ワインを、こんなステキなガラス張りの
新しいサロンで満喫!
チェチリアのお母さんの手造りのトスカーナ料理と『ピエトローゾ』のワイン
のマリアージュ。モンタルチーノの丘が見渡せる景色を眺めながら、幻のような
ランチ。

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ローマの3ツ星レストラン『ラ・ペルゴラ』のワインリストにも名を連ねている
『ピエトローゾ』のブルネッロ。飲めば飲むほどに語りかけてきてくれる、

トスカーナの偉大な土地を体感できるワインです。

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詳しくはワインを愉しむ通販情報誌【レコルト第12号】にて。

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グローバルレコルト編集室

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2014/01/20

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノワイナリー『LE POTAZZINE レ・ポタッツィーネ』

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イタリアの3大有名ワインの1つ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの里
トスカーナのモンタルチーノ村へ。
モンタルチーノ周辺は、ユネスコの世界文化遺産に登録されている
ヴァル・ドルチャの丘陵に囲まれ、魂が洗われるような美しさがあります。
見事な緑のグラデーションを展開しながら、ゆるくカーブする丘の間に
この地方独特の糸杉がそびえ立ち、俳句をしている母が見たらいい句が
いっぱいできるだろうなーという絶景が見られます。

訪問したのはモンタルチーノでも最小規模のワイナリー2社『PIETROSO
ピエトローゾ』と『LE POTAZZINE レ・ポタッツィーネ』。
前者は後日掲載される媒体でもお知らせしたいので、今回は後者を紹介。

この地方の銘酒「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノDOCG」とはサンジョベーゼ・グ
ロッソ品種100%で、法的に樽で最低2年、瓶内で4ヶ月の熟成など厳しい
規定に基づいて造られる高級ワインです。同じブドウを使い、ブルネッロ
よりもカジュアルな造りのものが「ロッソ・ディ・モンタルチーノDOC」で
法的規制では熟成してもしなくてもどちらでもOK。ワイナリーによって
ブルネッロのように長く熟成するところ、熟成は一切しないところと
いろいろあります。

『レ・ポタッツィーネ』では5ヘクタールの自社畑から、「ロッソ・ディ・モンタル
チーノ」と「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」、最良年のみさらに熟成の長い
「ブルネッロ・リセルヴァ」を生産しています。
生産量は極少ながらも、30カ国近くに輸出しており、世界的にその品質が
認められています。

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2年前に改装したというワイナリー、美術館のような格調高雅さ。
床も磨き上げられていて、ここで本当にワインを造っているの?と
思わされる清潔さ。でもこういう純潔さもワインの風味に反映されて
いて、ワイナリー訪問するとそのメーカーの特徴がよく理解
できるのです。これは酒屋さんでワインを買って飲んでいるだけで
はなかなか発見できないことで、これがワイナリー訪問の醍醐味です。
セラーで飼っているという人なつっこいネコがころころとやってきて
オーナーと一緒に出迎えてくれました。

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エレベーターで地下の熟成室へ。なんだか美術館のエントランス
みたいなのが熟成室の入り口。奥に大樽が見えます。
こういうの、テンションあがるなー。

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大樽とトンノーが数個あるだけの、ほんとうに小さなセラー。
この中にブルネッロが年代違いで静かに熟成されています。

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オーナーでもあり、エノロゴでもあるジュゼッペさんが樽からまだ
熟成中のブルネッロを試飲させてくれます。
『レ・ポタッツーネ』では2つの標高の違う畑のブドウを
別々に醸造し、ボトリングの前にアッセンブラージュしています。
またこのワイナリーでは「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」用のブドウ
「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」用のブドウと分けて栽培しているので
はなく、全てブルネッロ用に育て、モストのマロラティック発酵が
終わり樽に入れる前に品質チェックし、どのモストをブルネッロにする
か、ロッソにするのかを決定します。つまり、このメーカーでは非常に

ブルネッロに近い「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」
を造っているというわけです。ブドウを収獲した地点で、2級品のブドウを
「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」にしているワイナリーも多く、ブルネッロ
は素晴らしくとも、「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」のほうはぜんぜん
おいしくない生産者もあります。

セラーでは「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の2012、2011、2010年
を樽から試飲。全ヴィンテージとも2つの畑ごとに別々の樽で熟成している
ので、2つの畑からの3ヴィンテージ、つまり6種類のワインを試飲しました。
6種類を比べて飲むと、これ全部同じ生産者の?と驚くほど風味に差がありました。
でもどれも甲乙つけがたいでき。このうちリセルバは2011のみリリースしている

のですが、2010も素晴らしいハーモニーと深みあり。感動。これからどう

変わっていくのかも楽しみです。

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年代、畑によって特徴は違うものの『レ・ポタッツィ-ネ』のワインには共通して
エレガンスさ、清純さを感じました。
イタリア料理だけでなく、和食にも合うすっきりとした輪郭の爽快なブルネッロで
夏でも飲みたくなるようなさわやかさ。

ブルネッロはイタリアワインの中でも年代違い、畑違いの談論が盛り上がるワイン

で、その点ではブルゴーニュに似てるかもしれません。ブルネッロはやはり

価格も高価で特別感がありますが、「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」はコスト

パフォーマンスもよく普段飲みにぜひともおススメしたいワインです。

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TENUTA LE POTAZZINE  レ・ポタッツィーネ

53024 Montalcino Siena

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2014/01/11

イタリア一美しく高価な野菜『RADICCHIO ROSSO DI TREVISO TARDIVO ラディッキオ・タルディーヴォ』 

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トレヴィーゾの名産、ラディッキオ・タルディーヴォの収獲を
見に4世代に渡ってこの野菜を生産する農家を訪問。
これほどまでに手間隙をかけ、そしてお値段も高価な野菜は
イタリアでは右にでるものはありません。
この花のような形と色は、もともとの姿ではなく収穫後、この
地方の地下水に漬け込むことによって妖艶に変化したもの。
ちなみに他地方の自然水だと変化しません。
ルックスだけでなく、これが食べてもほんとにおいしいんです。
白い芯の部分はかなりしっかり肉厚で、生で食べるとシャリ
シャリと香ばしく、加熱すればしたでジューシーで甘みあり
なんとも食べ応えのある野菜です。
真冬の寒い寒い時期に、何時間も地下水に手をつけこんで作業
をするおじさんたち。いやーヴェネトの人ってやっぱり働き者です。

続きはコチラ、グストイタリア野菜紀行でどうぞ。





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2013/12/24

シチリア柑橘フルーツの楽園へ

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クリスマスシーズン真っ只中というのに、16℃もあるシチリア。

シチリアの東部カターニャから南部に下がったシラクサまで
イタリア最大の柑橘の産地があります。レモンは南部のシラクサ
が名産地。ちょうど収獲真っ只中のレモン農家を訪問。
このあたりの平地は延々とレモンの森が広がり、たわわに実る
みずみずしい黄色の果実がまぶしく目に入ってきます。
農園のレモンの木々の下にもぐると、上から木々をくぐって
差し込む太陽の光に包まれて、なんともシュールでロマンチックな
美しさ。

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シラクサではフェミネッロという品種のレモンがとれ、1本の木から
年に4回実をつけます。4回のうち、この時期にとれるレモンをプリ
モフィオーレと呼びます。

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果実を傷つけないように収獲し、その後大きさや傷物など選別
します。

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同地域で生産されているのがグレープフルーツ。
果肉が黄色いもの、ピンクのものと2種類あります。
イタリアはグレープフルーツの需要が極少で、どんどんこの柑橘
の生産面積は狭まっているそう。たしかにローマのメルカートでも
あまり見ない果物。

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グレープフルーツの木々。レモンより重たいので枝がより
太く、重みで垂れ下がっています。

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グレープフルーツルビー。中を割るとこんな感じ。
フレッシュでさわやかな甘みあり、かみしめるごとに果汁が
したたって、やっぱりとれたては最高!!!
こんなにおいしくとも、イタリア国内よりもイギリスやヨーロッパ
への輸出がほとんど。イタリアには柑橘がありすぎて、イタリア人は
得にグレープフルーツをどうしても食べたいという感覚がないんで
しょうかね。

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こちらはオレンジのナベリーナ品種です。
さわやかな甘みあり、果肉に種がなく食べやすいオレンジ。
たくさんあるオレンジの種類の中でも最も収獲時期が早く
メルカートにも最初に出回る品種。

 

そしてこちらがタロッコ。エトナ山の影響で色が赤く変化するのが特徴。

「アランチャ・ロッソ・シチリアーナIGP」という保護指定地域
表示認定を持つ、限定された地域でしか生産できない貴重なオレンジです。

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タロッコの収獲はまだ春先になるので、実が赤くなっている
のはほとんどありませんでしたが、中を割るとこんな感じ。

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この時期まだ酸味が高いのですが、かみじめるごとに果汁が
したたって、ジューシーでおいしい!体の細胞全部にビタミン
が補給されていくー!

これほどにジューシーで栄養価たっぷりの果実の畑が、見渡す限り
どこまでも続くシチリア。この地方の地面と太陽のすごさは、何か神さま
の恵みが特別に与えられているとしか思えない迫力があるのです。








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2013/09/13

福岡の農業家シルビオさん

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『TENUTA CAMPI FLEGREI テヌータ・カンピ・フレグレイ』。
それはナポリと福岡に共通して存在する名前。
一つはシルビオさんの出身地、もう一つはシルビオさんの農家。
今地方発信型ビジネスが注目を浴びる中、まさに地方独特
のユニークな仕事を展開しているのがこの人シルビオさん。
自らの農家で日本ではまだ浸透していないイタリア野菜を栽培
し直販店で販売しています。さらにその作物からイタリア伝統
食材を作ったり、それらのレシピを教えたり。
イタリアでも食文化が豊かなナポリ出身であるだけでなく、お母
さん、おばあちゃんから教えたれたたくさんの自慢レシピを持つ
シルビオさん。
料理人として日本にイタリア料理&文化を伝えたイタリア人
は今までにたくさんいますが、農業家として日本とイタリアの
架け橋を作った唯一の人。

グストイタリアで紹介しています。
http://www.gustoitalia.jp






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2012/08/23

『TENUTA CASTELBUONO テヌータ・カステルブゥオーノ』べヴァーニャ

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真昼間にUFOが降り立ったようなこの光景!
これワイナリーです。
建築誌やワイン誌で今話題をさらっている『テヌータ・カステルブオーノ』。
ウンブリアのべヴァーニャ郊外につい2ヶ月前に完成した新ワイナリー。
新しいといっても、実はここのオーナーはイタリアの最高峰スプマンテ
FERRARI フェッラーリ社』を経営するルネッリ家。

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設計したのは世界で活躍する建築家アルナルド・ポモドーロ氏
銅製のドームはUFOに見えたのですが、これは亀をイメージしたそう。
”長寿”と”辛抱強く待つ”というイメージを持つ動物とワイナリーが
生産する『モンテファルコ・ディ・サグランティーノ』の象徴を掛け合
わせたもの。ワイナリーは甲羅の下にあります。

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建物から外を見ると、べバーニャのパノラマが見えます。

1902年に初代オーナーのジュリオ・フェッラーリ氏がフランスのシャン
パンに感銘し、北イタリアはトレンティーノでメトド・クラシコのワインを
造ったのがこのワイナリーの始まり。その後現在のオーナールネッリ家
に経営がわたっています。このルネッリ家が2000年にサグランティーノ
に興味をもち、55ヘクタールの畑をウンブリアのモンテファルコ村に購入。
7年かけてこのワイナリーを完成させたというもの。

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亀の甲羅の下は地下につながるらせん階段があります。
降りるとなんとそこは熟成室。壁と天井は淡い水色で空のイメージ。
空=天の下でワインが安らかに眠っている平和な場所。

このひんやりした空気と淡い光がなにかふんわりとした神聖な

雰囲気をつくりだしていました。

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熟成室の真ん中にあるらせん階段の柱に扉がありました。
ここを開けると秘密のテイスティングルームがあります。

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ティスティングルームは祭壇のイメージ。たしかに神聖な空気が
ここにも。グラスが置いてあったのでワインが飲めるのかな、と
思いきや見学が終わると追い出されてしまいました。。。アララ。

この偉大な建築家はポモドーロさんというのですが、苗字がトマト。
どうでもいいのですが、ワイナリーの人が案内をしてくれるのに
「トマトさんは7年かかってこのカメを作りました」とかいうところで
訪問者のあいだでなかなかおもしろい空気が漂っていました。

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地下から上に上がると暑い暑い。
ウンブリアも例外にもれずこの日は35℃。
冷房がないので汗がタラタラでてきます。
そこで出てきた救世主『PERLE NERO 2005』。黒真珠という名の
ピノ・ネーロ100%。フルーティでトーストの香ばしさとミネラル感。
やっぱりこの高級感はなかなかイタリアワインにありませぬ。

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『ROSSO DI MONTEFALCO DOC 2008』
『MONTEFALCO SAGRANTINO DOCG 2006』
ワイナリーの肝心のこの2本をティスティングしましたが
これはがっかりでノーコメント。

モンテファルコ・サグランティーノというワインは1992年に
DOCGになった赤ワイン。このワインをつくるサグランティーノは
ウンブリアの土着品種。ブドウの中でも最もポリフェノールを多く
含む品種です。そのためタンニンが多く、長熟ワインとして知られて
います。今でこそ辛口赤ワインとして有名ですがもともとは甘口の
ワインでした。収獲したブドウを干し”パッシート”として宗教のお祭り
があるごとにこの地方の農民が飲んでいた甘いワインだったのです。
”サグランティーノ”の語源は”SACRO VINOサクロヴィーノ”=聖酒
という言葉からきています。

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ワイナリーの外にはこんな赤いオブジェが。
これはこの地方の人々が昔から伝えてきた農業の厳しさを表現
したもの。このようにワイナリーはワインと現代アートが一体となって
います。ワイナリーの周りにあるブドウ畑にもところどころに若手
アーチストの作品がドカンと飾られています。日本人女性作家の
ものもあるそうですが、いくつかある中でどれなのかわかりませんでした。

それにしても見る人を圧倒するすごい建築物をつくったものです。あのワインで
これほどの巨額資金ができたということか。。。と亀を眺めながら一人
現実的な想いに耽ってしまいました。

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TENUTA CASTELBUONO

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2012/08/11

SFIDA DI TORREFAZIONE 焙煎工房の挑戦

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世界のバリスタコンテストの審査員も務めるコーヒーテイスターの
アンドレイ氏の案内でイタリアでトップ10の品質を誇るという
ローマ郊外の某焙煎工房へ。

イタリアにある焙煎所の数は約500軒。
これらの焙煎所は中部/南アメリカからのコーヒー豆をヨーロッパ
の輸入業者から、購入し、焙煎、製品にしてイタリア各地のバール
に卸しているというしくみです。

イタリアで飲まれるエスプレッソはたいてい数種類の豆がブレンドされ
ています。浅い焙煎をしたほうがいい豆もあれば温度をあげて深く炒
ったほうがいい豆もあります。一般的に焙煎が浅いとアロマの高い豆
になりますが深いとコクが出てコーヒーの表面にできるクレマもきめの
細かいものになるのです。
多くの大手工場ではその多種類の豆を生の状態で先にブレンドし
てから一気に焙煎します。
ところがこの焙煎工房では特注でつくったという小さな焙煎機で、徹底的
に豆の特徴にあわせた焙煎をしていました。つまり7種類の豆があると
すれば1種類ずつ焙煎時間も温度も微妙に変えているわけです。
そのようにすべての豆を焙煎したあと初めてブレンドするのです。
焙煎を1回ですますのと、何回にも分けてするのとでは手間隙がまったく
異なりますが、だからこそ複雑味のあるおいしいエスプレッソになるというわけです。
ここの焙煎所長はいかに自分たちがマイノリティな存在であるか、でも
これからもっと原材料としてのコーヒーの品質を問われる時代がくるだろう
ということをコーヒーの香ばしい芳香が漂うなか語ってくれました。
どの世界にいてもこういう人ってカッコいいー!こういうすがすがしい気持

ちにさせてくれる生産者にいつも会えるとは限りません。
ここまで手間隙かけた原材料としてのコーヒーも、さらにバリスタの腕
そして、その日の気温や湿度によって味が変わってくるというのだから
コーヒーの世界もほんとに奥深いものがあります。

そしてそこでふと思ったのが、ワインやオリーブオイルではソムリエや
鑑定士という職業があり、ちまたにはガイドブックというものがあふれてい
るけれど、エスプレッソ鑑定士、コーヒーテイスターまたはコーヒーガイド
ブックというのはほとんど皆無ということ。
これはイタリアのコーヒー業界がまだ大手の独占市場状態だからなのか。
だとすれば少し前のオリーブオイルの業界と同じ。オリーブオイルは今で
こそ小さな優良生産者がたくさんでてきたけれど、同製品のコンテストや
ガイドができだしたのはほんのここ数年のこと。こういったことを参考にし
たりしてオリーブオイルを選ぶイタリア人が増えてきたのは事実。
私がローマに来たころは食材店には有名メーカーだけで、今ほどたくさん

のオリーブオイルが並んでいることはなかったっけ。オリーブオイルの試飲会

やガイドなんてものもここ最近ポピュラーになって、やっと民主主義的な市場が

成立した感じ。消費量が多い食品であればあるほど、小さな優良生産者の

出番がなく不利なのかもしれません。まだまだ君主制のイタリアコーヒー業界。
これから時代の流れによってコーヒーはどのように変わっていくのかな。
そんなことを考えながら濃いエスプレッソをグイっと飲み干しました。

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おまけ。初めてみたエスプレッソティステイングシート。
エスプレッソカップの形がカワイイ!



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2011/12/16

モンタルチーノ『LA CERBAIOLA - SALVIONI ラ・チェルバイオーラ サルヴィオー二』訪問

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イタリア3大高級ワインのひとつブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。
シエナから南に車で40分ほどの距離にあるモンタルチーノ地区
での現在のブドウの総栽培面積は3500ヘクタール。
ここに208軒あるブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産者の中でも
あまりの生産量の少なさから入手困難で知られる『ラ・チェルバイオ
ーラ-サルヴィオーニ』を訪問。日本でも熱狂的なファンが多いですが
イタリアの酒屋でも他メーカーのブルネッロの2-3倍の価格がつい
ています。イタリアでもワインコレクターは必ずセラーにこのメーカー
のオールドヴィンテージを持っています。

ワイナリーは2つの場所に分かれていて、1つは4ヘクタールの畑と
発酵までの醸造場、そしてもうひとつはモンタルチーノの街中にある
熟成庫。自宅の地下にあるその小さなガレージみたいなスペースの
熟成室を訪れました。
オーナーのジュリオ氏がアポの日程を1日間違えていたので突然の
来客という形になってしまったにもかかわらず、本当に丁寧に案内して
くれました。幻のワイナリーとか、完璧主義者とかそんな言葉で表現さ
れる造り手なので、勝手に気難しいおじさんという先入観を持っていた
のですがジュリオ氏はそれがふっとぶような豪快でおおらかな人でした。

このワイナリーではこちらはブルネッロ用、あちらはロッソ・ディ・モンタル
チーノ用というように畑を分けていません。ひとつの畑でその年の天候の
よしあしによって毎年ブルネッロとロッソの生産量が変わります。それは
まったくブドウのできだけによって決定されるので、割合はもう毎年バラ
バラです。たとえば2006や2010などのグレートヴィンテージとなった年
のブドウは100%ブルネッロになり、ロッソは1本も生産されていません。
最悪の年となった2002年はブルネッロもロッソも1本も生産されません
でした。それ以外の年は畑では、まずよいできのブドウだけを厳選、ブル
ネッロワインとなり、ここでセレクトされなかったブドウがロッソとなるわけ
です。しかも収穫時期には1本の木から2房まで、1kgまでの生産量と
もう畑の段階で絞っています。つまり、ロッソもすごい好条件の畑のブドウ
から生産されており、ブルネッロはもちろんのことロッソの質がものすごく
高いということなんです。どこまでもブルネッロに近いロッソです。

熟成室でジュリオ氏の情熱的なワインの説明のあと、楕円形の樽から直接
2010、2009、2008を試飲という贅沢なことをさせてくれました。うれし涙。

まだ樽に入っている状態でしたが驚くのはまず年代ごとのアロマの違い。
えーこれほどまでに!というサプライズの連続。 さらに2010でももうすでに
エレガントさが十分備わっていたこと。畑でかなり生産量を落とすので、ものす
ごい凝縮感がある濃いワインを想像するのですが、そうではなくてブルゴーニュ
のような洗練された感動的な透明感があります。

もともとは彼の祖父が始めたというこのワイナリーの初リリースは1969年。

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その初ボトルがこれ。昔は白も作っていたんです。

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熟成室のさらに地下にはオールドヴィンテージの倉庫が。
そこでどんどん古いワインを見せてくれました。
これはブルネッロ1990。

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ロッソ・ディ・モンタルチーノ1988。
23年たってます。

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こちらは86年。
25年前のワイン。
極上のロッソ、これはブルネッロ以上に飲んでみたい!

ブルネッロは20年も30年ももつ長熟ワインですがジュリオ氏いわく
彼のロッソもまた長寿であるということ。先日あるイタリアワインガイド
のため1981年ヴィンテージのロッソを試飲したが、それが30年経っ
た今でもそれはそれは素晴らしく、その場にいた全員が絶句したそう。

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ジュリオ氏のワインはラベルをいまだに手で張っていることでも
知られていますが、本当でした。小さな台所のテーブルみたいな
台の上で1枚1枚ずれることなくピンとまっすぐに張るこの手つき。
職人さんです。栓を閉めた後のカプセルもほとんど手作業でそれ
も見せてくれました。やっぱりマシンでやるのとは違いますね。
ワインへの想いが伝わってきます。
2004年まではボトリングもマシンを使わずに手でやっていたのです。

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最後になんとなんとサプライズでブルネッロ2005をプレゼントして
くれました。一緒に訪れた幼馴染と私の名前、日付け入りで。
さて、はたしてこれいつ飲みましょうか?!
30年後?!

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2011/10/16

農業離れでワイナリーが頭を抱えるブドウ収穫作業

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シチリア西部マルサラへワイナリー訪問の旅。ローマからは最近
トラパニ行きの直行便のフライトがあるため以前のようにパレルモ
空港からはるばる車を飛ばさずとも近くなったマルサラ。トラパニの
空港はもともと軍事専用のものだったのが、一般にも開放された
ためかなり便利になりました。ただ唯一の航空会社ライアンエアー
というのが、非人間的なサービス(1日1便で不便な時間、荷物制限が
異常に厳しく機内の席は早い者勝ち)で、これが難ですがローマから
1時間でマルサラに到着できるのは何にも変えがたいものがあります。

マルサラではワイナリーはどこも収穫が終わり、ちょうど今ワインの発酵
がすすめられていました。
日本と同じく農業離れがもうこれ以上ない!というほどに進んでいるイタリア。
シチリアだけでなくワインの国イタリアで、ワインメーカーを今最も苦しめている
のが収穫時の人手不足。中世までは地元の人々が力をあわせ行っていた
ものが、現代のイタリア人は3Kの仕事はなんでもかんでも移民に任せる
ようになったため、全国的に作物の収穫は主にアフリカ人ががんばっていると
いう実態。ところが最近は各地で不法労働が取りしまわれたり移民達の低賃
金労働に対する暴動が起こったりと、なかなか難航しています。
ある南イタリアワイナリーのオーナーが「今もし1人のイタリア人を収穫作業に
8時間雇ったとしたら、80ユーロ(約8500円)かかる。これだったらワインの
値段をいくら上げてもたりないよね。商売にならないよ。」と言っていました。
またブドウの収穫は時期が限られた季節労働になるので、その時だけヒマな
人たちもあまりいないとのこと。ブドウ畑が急斜面になっているところもありこれは
かなりの重労働です。
かといって収穫しなければワインもできないので、各地でいろいろな新方法が
展開されています。
今回訪れたシチリアはすごかったのがヨーロッパ共同体の資金投資による
機械化。シチリアはヨーロッパの経済開発地域の一つに指定されているため
シチリア州を通してあらゆる農業組合や個人農家のレベルまで多額な
援助を受けています。そのため今回もこれはイタリア、いやヨーロッパで最新
ではないか?!というようなすごいテクノロジーを備えたワイナリーがありました。
その一つが収穫の機械でブドウの木をゆるくゆすってブドウの実には一切触れず
傷をつけずに収穫するという方法。マシンもどんどん小型になって、荒い手摘み
よりもマシンによるソフト収穫の方がよいと断言するところも。これなら広大な畑
を持つワイナリーでも本当に少人数のスタッフで作業できるというシステム。
また、中部イタリアや北イタリアで面白かったのがワインツーリズムに来る観光客
に手伝わせるというもの。もちろんしっかり収穫作業の指導をし、作業中も
ワイナリーのスタッフがコントロールしながらブドウ摘みをさせるのです。
アルバイト代はないけれど宿泊代はタダにします、というところもありました。
さらに学生たちを課外授業として招待し、地域ぐるみで手伝わせるというもの。
みんな知恵を絞っていろいろトライしているようですが、今の日本も同じ状況。
イタリアのアイデアを参考にするのもいいかもしれません。

ただやはり収穫はワインのおいしさを左右する貴重な作業。
ワインはただの飲み物でなく、イタリアを代表する文化であり、地方経済の基盤
だからこそ、今後イタリア人がこの問題がどう解決していくのか興味深いものです。




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